「いまスーパーGTがすごく人気が出てきているなかで、自分自身がレーシングドライバーとして、もっとプロ意識をもっていこうと考えたんです。ドライバーとして結果を残すことは当たり前ですが、プロとして少しでも変えたいという思いがありました。そのひとつが、スーツでの移動です」
塚越はネクタイを締め革靴を履き、2月のメーカーテストからスーツでの移動を開始した。当然、まわりのドライバーは今までどおり私服。「まわりはみんな『どうしたの?」って不思議がりましたね。正直、僕たちがスーツを着るとしたら発表会やパーティ、表彰式くらいですから。説明するのがめんどくさいくらいみんなに説明しました(笑)」と塚越は笑う。
「でも僕としては信念をもってやっていますし、これがチーム単位だったりメーカー単位だったりでスーツを着るようになれば、もっとカッコよくなると思うんです。もちろん、それぞれがもっているレーシングドライバー像というのがあるので、それぞれやっていけばいいと思います。僕はスーツを着ることで、メリハリをつけた姿をみせていければいいなと思っています」
■もっとカッコいいレーシングドライバーを目指したい
こうしてスーツを着用しはじめた塚越だが、彼自身にもうひとつ大きな変化があった。それは、自費で発売されたばかりのホンダNSXの市販車を購入したのだ。スーパーGTではNSX-GTを、ふだんはNSXの市販車をドライブするというわけだ。これについても、なぜなのかを塚越に聞いた。
「NSXが発表された時点で自分は『買います!』と言っていたので、引くに引けないところもありました。予想よりも値段は高かったですが(苦笑)」と塚越。だが、彼にとってNSXを買うというのは、スーツを着ることと同じ思いがあるのだという。
「自分がスーパーGT、スーパーフォーミュラを戦いながら、NSXを買って乗ることができるということは、これからレーシングドライバーを目指す子どもたちにとってもすごく夢があると思うんです」
