フランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)は、MotoGP第7戦イタリアGPの決勝を3位で終えた。

 終盤は小椋藍(トラックハウスMotoGPチーム)の猛追を受けるも、母国のファンの前で表彰台を守り切った。大観衆の前で再びポディウムに戻った喜びとドゥカティが直面している課題、そしてシーズン中の進歩について語った。また、自身の私生活を巡る報道のあり方についても言及した。

◆小椋藍と最終コーナまで争った表彰台 限界ギリギリのバトルはバニャイアが制す

 最終ラップに入った時点で、バニャイアは小椋藍の接近を警戒していたという。終盤の小椋は常に強く、ターン12では背後にマシンの音を感じていた。

「最終ラップに入ったとき、オグラが来ると思っていた。彼は終盤の数周でいつも素晴らしい走りをする」

 バニャイアは最終コーナーで強くブレーキングし、相手にスペースを与えない戦略を取った。小椋が仕掛けてきた場合、ふたりともラインを外す可能性があったほど限界ギリギリではあったが、その判断は正しかった。

 アプリリア勢は今大会で最高速記録を更新するなど、ストレートでも速さを見せていた。それでも、バニャイアはフィニッシュラインまでに抜かれるとは考えていなかった。

「そう思う部分もあった。ただ、今日の僕のマシンはロケットのようだった。最終コーナーからさらに抜くのは難しかったと思う」

 最終コーナーでは大きくホイールスピンしていたが、できるだけ良い立ち上がりを得るため、路面のくぼみを利用しながら深くバンクさせ、フロントが浮かないようにした。それが表彰台を守るには十分だった。

「このようなレースのあと、最後のコーナーで表彰台を失うことになれば、感情面では大きな打撃になっていたはずだ」

◆ムジェロで戻った表彰台「世界で一番のポディウム」

 決勝レースでは、1周目から全力を尽くしたバニャイア。リヤのグリップを失いすぎないように努めたものの、レース中盤から苦しくい走りを強いられた。

 マルコ・ベッツェッキ(アプリリア・レーシング)が近づいてくることも分かっていた。それでもバニャイアは冷静さを保つことに集中し、3位表彰台を「今日できる最大限だった」と振り返った。

 レース序盤にトップを走ったことは、バニャイアに大きな自信を与えた。現在のドゥカティはリヤのグリップ不足という課題を抱えており、バニャイアは他のドゥカティ勢と比べても苦しんでいるという。そのため、チームは別の方向性を試している。

「ここ2シーズン、マシンのバランスは以前と違っている。今は自分が好む位置に戻そうとしているところだ」

 その手応えは少しずつ出ている。バニャイアは今後、段階を踏みながら、現時点で先を行くライバルたちと戦えるようになると見ている。トップを行くアプリリア勢との比較では、特にリヤグリップの差を課題に挙げた。

「足りないのはリヤのグリップだと思う。アプリリアを見ると、より強くコーナーに入っていけるし、より曲げることができている。僕たちはそこに取り組んでいる」

 次戦バラトンパークはグリップレベルが高いサーキットであり、問題が軽減される可能性がある。また、ブルノやアッセンでも競争力を発揮できるのではないかとバニャイアは考えているようだ。

 また、今大会のイタリアGPでは観客動員数の記録が更新された。バニャイアは、イタリアのファンの情熱を強く感じたという。

「今日、表彰台に立っていたとき、最後の瞬間までその場に残っていたいと思った。雰囲気は信じられないほど素晴らしかった」

 ホルヘ・マルティン(アプリリア・レーシング)への声援にも、バニャイアは好印象を抱いた。通常、イタリアのファンはイタリア人以外には厳しいところがあるが、この日はスペイン出身であるマルティンへの応援も含めて素晴らしかったという。

「ポディウムの下にあれだけ多くのファンがいるのを見ることは、ライダーが味わえる最高の感情のひとつだ。僕にとって、ムジェロの表彰台は世界一だ」

◆復調への出発点「悪夢の終わりであってほしい」

 今シーズン苦しい戦いを強いられているバニャイアにとって、この週末は再出発、あるいは悪夢の終わりと言えるのか。そう問われると、彼は「そうであってほしい」と答えた。

 シーズン開幕から、バニャイアとチームは過去とは異なるメンタリティで作業を進めてきた。自宅でのトレーニングでも、以前のレベルへ戻るためにすべてを注いでいるという。

「僕たちのマシンは過去とは違う形で機能している。だから、自分が100%自分らしくいられる方向にセットアップしようとしている。そして、正しい方向に進んでいると感じている」

 ムジェロはもともとバニャイアにとって相性の良いグランプリであり、コースレイアウトも彼のスタイルに合っている。それでも、今回の3位は単なる得意コースでの好結果にとどまらず、今後へ向けた出発点になり得るものだと見ている。

 この3位は勝利に等しいのか。バニャイアは、完全に同じではないとしながらも、かなり近い感情があったと語った。

「今日の結果にはこみ上げてくるものがあった。この結果にふさわしい走りをしたと感じているからだ。勝利と同じではないが、それに近いものはある」

 さらに、ファン投票による“ライダー・オブ・ザ・デイ”にも選ばれており、バニャイアは「小さな勝利はあったね」と笑った。

◆私生活報道に苦言「プライベートは尊重されるべき」

 会見では、2カ月後に父親になることについても質問が及んだ。バニャイアはこの件について、答えるのは一度だけだと前置きしたうえで、私生活に関する報道のあり方に苦言を呈した。

「僕たちはスポーツ選手であり、質問には答えなければならないと思っている。ただ、私生活を尊重することも、ジャーナリストの持つべき特性であるべきだ。ここにいる多くのジャーナリストには感謝したい。以前から知っていながら何も言わなかった人が多かったからだ。一方で、時々ここに来るだけの人たちが、それをオンラインに出した」

 バニャイアは、朝起きたときにその件を報じる記事を見て腹が立ったと明かした。公表するつもりがなかったわけではないが、私生活は尊重されるべきだという考えを強調した。そのうえで、父親になること自体には大きな喜びを感じていると語った。

「それを除けば、本当に幸せだ。僕に起きた最高のことだ。妻のドミツィア・カスタニーニはすでに人生で最も美しいもののひとつだったし、これは僕たちの人生におけるもうひとつの贈り物だ」

 詳細については、生まれたときに分かることだとし、今後もこの話題について多くは語らない意向を示した。

「(子供が生まれることで)0.2秒遅くなるとは思わない。むしろ、最大で0.2秒は速くなるだろう。あまり多くを話さないという僕の決断を尊重してほしい。これは僕の私生活だからね」

 最後に、イタリアGP前にミサノ・サーキットでパニガーレV4Sに乗った際のタイムについても話題が及んだ。バニャイアはトレーニングの一環でありながら、昨年のサンマリノGPのベストタイムからわずか3.41秒落ちのタイムを記録した。彼は自身のタイムには満足していたものの、Moto2に参戦するイタリア人ライダー、チェレスティーノ・ビエッティにわずかに上回られたという。

「パニガーレで出したタイムには本当に満足していた。でも、ひとりのライダーに負けた。チェレスティーノの方が速かった。彼はものすごく速かった」

 幸い、ビエッティはドゥカティの公式ファンイベント「ワールド・ドゥカティ・ウイーク」には出場しないため、もし出ていれば全員を圧倒していただろうと、バニャイアは冗談交じりに語った。一方で自分を負かす可能性がある存在としては、ドゥカティのWorldSBKライダーであるニコロ・ブレガの名前を挙げている。

Author: Gabriele Rubat
情報元:Moto.it(5月31日掲載)

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