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クルマ ニュース

投稿日: 2021.04.20 12:30
更新日: 2021.04.20 12:52

全車種“勝ち組”のトヨタSUVを深掘り!販売上位独占の理由は?【市販車情報】

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クルマ | 全車種“勝ち組”のトヨタSUVを深掘り!販売上位独占の理由は?【市販車情報】

■ヤリスクロス

トヨタ・ヤリスクロス
トヨタ・ヤリスクロス

■車両概要

 コンパクト2BOXのヤリスをベースに開発されたヤリスクロス。ガソリン車、ハイブリッド車ともに最新設計のパワーユニットを搭載するほか、プラットフォームはRAV4やハリアーのふたつ下となるGA-B。TNGA以降のSUVに共通する、ゆとりの動力性能と軽量&高剛性を意識した設計が注がれている。

ヤリスクロスは2BOXのヤリスと比べると、ひと回りサイズアップ。プラスαの余裕は主に後席のスペース拡大に当てられている。快適性の高さもヤリスクロスの長所。
ヤリスクロスは2BOXのヤリスと比べると、ひと回りサイズアップ。プラスαの余裕は主に後席のスペース拡大に当てられている。快適性の高さもヤリスクロスの長所。

 ヤリスクロスは高速ツーリング性能を意識した硬めのサスチューンの塩梅も絶妙で、コンパクトSUVの中ではトップレベルの走りが楽しめる。また4WDがしっかりと設計されていることも特徴だ。

 4WDのメカニズムはガソリン車の方が高機能だが、ハイブリッド車にもリヤモーター式のE-Fourを用意するなど、ラフロード適性も併せ持っている。

ヤリスクロスのプラットフォームはTNGA由来のGA-Bを採用。軽量高剛性を実現し、シャシー性能も大幅に向上している。
ヤリスクロスのプラットフォームはTNGA由来のGA-Bを採用。軽量高剛性を実現し、シャシー性能も大幅に向上している。

 トヨタセーフティセンスも、ACCは停止保持、渋滞追従まで対応する全車速型に加えて、ライン制御型LKAのLTAまで備わるなど、上位モデルに見劣りしない運転支援機能を備える。ディスプレイオーディオも大半のグレードに標準装備となるなど、機能装備も充実している。

■グレード解説&購入ガイド

価格帯:179万8000~281万5000円

 ガソリン車もハイブリッド車も『X』『G』『Z』の3タイプから選べると考えていい。『X』はトヨタセーフティセンスは備わるが、ディスプレイオーディオのモニターが小型(7型)になったり、ホイールがスチール製になったりと、コスト削減を意識させられる仕様。最上位の『Z』は内外装の意匠は相応に良くなるが、価格は『X』に比べると約30万円ほど上乗せとなる。

 機能装備と価格の両方を重視するならば、中間グレード『Z』のバランスがいい。アルミホイールの採用や8型サイズのモニター、内装パネルの加飾の質感も高まって、『X』からの価格アップは10万円強と、納得できるレベルだ。

室内空間はこのクラスでは十分な広さを確保。内装はシンプルなデザインでまとめられている。
室内空間はこのクラスでは十分な広さを確保。内装はシンプルなデザインでまとめられている。
荷室は後席格納時に便利に使える2段式の床面ボードを採用するなど、工夫を凝らしたユーティリティが与えられている。
荷室は後席格納時に便利に使える2段式の床面ボードを採用するなど、工夫を凝らしたユーティリティが与えられている。

 ガソリン車とハイブリッド車の選び分けは、トヨタSUV選びの共通の悩みだが、ヤリスクロスの場合はガソリン車とハイブリッド車の価格差は40万円弱とそれなりに大きい。動力性能はハイブリッド車が上だが、アクセルの反応の良さはガソリン車が若干秀でている印象だ。

幅広い速度域で良質な走りが楽しめるヤリスクロス。動力性能はハイブリッド車の方が高いが、最新ダイナミックフォースエンジンとダイレクトシフトCVTを組み合わせたガソリン車も魅力的。
幅広い速度域で良質な走りが楽しめるヤリスクロス。動力性能はハイブリッド車の方が高いが、最新ダイナミックフォースエンジンとダイレクトシフトCVTを組み合わせたガソリン車も魅力的。

 燃費も最新のダイナミックフォースエンジンを搭載することもあって、ガソリン車でも実燃費20km/L超えだ。

 一般走行でも高速走行でもガソリン車で十分なので、ガソリン車を基準に選んでもいいが、ハイブリッド車の方がより豊かな力感や安定感を感じることができる。ロングドライブが多いユーザーならば、少々価格は高くなってしまうが、幅広い速度域で安定した走りを披露するハイブリッド車の方をオススメしたい。

■C-HR

トヨタ C-HR
トヨタ C-HR

■車両概要

 
 C-HRの登場は2016年。TNGA以降のトヨタSUVの中では最も古株だが、2020年夏の一部改良で機能装備を大幅強化。トヨタセーフティセンスがライン制御型LKA(LTA)に対応するなど、最新モデルと遜色ない運転支援機能を手に入れている。

 サイズはヤリスクロスとRAV4の中間に位置する。プラットフォームはプリウスやカローラ系と同じGA-Cを採用しているため、ヤリスクロスよりも車格はひとつ上になる。

 ただ、クーペルックからも分かるように、実用性よりスタイルを優先するパッケージのため、室内や荷の使い勝手は今ひとつ。特に、後席は頭上空間が圧迫されているので、ヤリスクロスよりも狭く感じる。

C-HRはリヤエンドが絞り込まれた印象的なスタイリングを採用。SUVというよりもスペシャリティクーペと考えるのが正しい。
C-HRはリヤエンドが絞り込まれた印象的なスタイリングを採用。SUVというよりもスペシャリティクーペと考えるのが正しい。

 パワートレーンは1.2リッター直4ターボと1.8リッターハイブリッドの2本立て。最新ユニットが投入された後発のモデルと比べると特段優れているわけではないが、余裕をもたせたボディ設計のおかげもあって走りの質感は相当高い。

動力性能と燃費性能のバランスに優れる1.8リッターTHS IIハイブリッドは、現行のプリウスやカローラシリーズにも搭載されている。
動力性能と燃費性能のバランスに優れる1.8リッターTHS IIハイブリッドは、現行のプリウスやカローラシリーズにも搭載されている。

 特にサスチューンは、乗り心地と安定感を高い次元で両立させており、コーナーを軽快にクリアする感覚は、SUVというよりもスポーティクーペに近い印象すら受ける。見た目だけではなく、走りの面でも、スポーツキャラで勝負できる異端児に仕上げられている。

■グレード解説&購入ガイド

価格帯:238万2000~314万5000円

 ガソリン車とハイブリッド車でグレード表記が異なる(ガソリン車は、S-TのようにターボのTが付く)が、ベーシックな『S』に、内装意匠と安全装備を強化した『G』、GAZOO Racingのエアロパーツやサスチューンが施された『S “GRスポーツ”』の3タイプを用意。ガソリン車は4WDも設定され、さらにSUVとしては珍しく6速MT車もラインナップする。

標準仕様も十分にスポーティだが、GAZOO Racingの手がけた『GRスポーツ』は、さらにアクティブな性格の持ち主で、積極的に走りの質感向上に取り組んでいる。
標準仕様も十分にスポーティだが、GAZOO Racingの手がけた『GRスポーツ』は、さらにアクティブな性格の持ち主で、積極的に走りの質感向上に取り組んでいる。
黒を基調とするキャビンの仕立てはなかなか巧み。
黒を基調とするキャビンの仕立てはなかなか巧み。
『GRスポーツ』には専用シートなどが奢られる。前席優先の設計のため、後席は若干手狭なのが難点。
『GRスポーツ』には専用シートなどが奢られる。前席優先の設計のため、後席は若干手狭なのが難点。

 ガソリン車/ハイブリッド車とも全グレードにトヨタセーフティセンスやディスプレイオーディオ(8型)は標準装備になるので、どのグレードを選んでも実用装備に大きな差はない。

 ポイントはガソリンターボ車とハイブリッド車の違いについて。ヤリスクロスやRAV4は、ガソリン車も十分魅力的な性能を持つため、性能差はあれどもガソリン車を積極的に選びたくなる理由があったが、C-HRの1.2リッターターボは、回した時の心地よさやパワーの伸び感は好ましく思うが、世代的にはひとつ前の設計ゆえに実燃費はかなり物足りない。

 肝心の動力性能もモーターアシストが加わるハイブリッド車に比べると見劣りする部分が多い。ガソリン車にこだわりがないのならば、約35万円高でもハイブリッド車の方が無難な選択だ。

C-HRは2020年の一部改良で、トヨタセーフティセンスの機能を強化。LTAや緊急時操舵支援機能を追加するなど、運転支援機能の充実が図られた。
C-HRは2020年の一部改良で、トヨタセーフティセンスの機能を強化。LTAや緊急時操舵支援機能を追加するなど、運転支援機能の充実が図られた。

■ライズ

 トヨタ・ライズ

トヨタ・ライズ

■ 車両概要

 トヨタTNGA技術のダイハツ版となるDNGA技術により開発されたライズ。基本的にはTNGAと同様の狙いで設計されているため、運転が楽しいSUVに仕上げられている。

 プラットフォームはDNGA-A、パワートレインは1.0リッター直3ターボのみと、ハードウェア構成はヤリスクロスよりひとクラス下になり、ハイブリッド車も設定されない。

ライズはダイハツ主導で開発されたコンパクトSUV。車格としてはヤリスクロスのひとつ下に位置するモデル。ダイハツからはロッキーとして発売されている。
ライズはダイハツ主導で開発されたコンパクトSUV。車格としてはヤリスクロスのひとつ下に位置するモデル。ダイハツからはロッキーとして発売されている。

 ただ、1.0リッターターボは回せば回すほどパワーが盛り上がる特性を持ち、発進ギヤ機構を備えるD-CVTとの相乗効果により、1.0リッターという排気量からは想像できないほどキビキビと走ってくれる。燃費性能はヤリスクロスとは大きな差があるが、ライズならではの俊敏な加速フィールの心地よさは人気を集める理由になっている。

 全長3995mm、全幅1695mmという小柄なボディサイズの割りには、室内や荷室も相応に確保されていて、見た目以上に使い勝手は優秀だ。

小さめのボディサイズの割りには、室内空間は広め。荷室も実用的な設計で、内装の仕立ても合格点。
小さめのボディサイズの割りには、室内空間は広め。荷室も実用的な設計で、内装の仕立ても合格点。

 安全運転支援機能はダイハツ独自のスマートアシストとなり、ディスプレイオーディオも純正オプションとなるなど、機能/性能が充実するヤリスクロスと比べると少し見劣りしてしまう。ただ、内装意匠は色使いや素材の仕立てが巧みでチープ感は希薄。

 上級グレードの『Z』ならば、カジュアルな室内空間も楽しめるほどだ。実用面と遊びココロやクルマの楽しさを追求したキャラを持つことも、登場から好調なセールスを維持している理由だ。

上級の『Z』のインテリアは満足度も高い。
上級の『Z』のインテリアは満足度も高い。

■グレード選び&購入ガイド

価格帯:167万9000〜228万2200円

 ヤリスクロスの登場で影響を受けると予想されていたが、実際は好調なセールスをキープ。2021年2月の登録台数もダイハツ・ロッキーとの合算で1万台を超えるなど、ヤリスクロスと棲み分けができている。

 グレードは、ベーシックな『X』、『X』に機能装備が追加された『G』、内装意匠と運転支援機能が強化された『Z』の3つに、『X』からスマートアシストを省いた『X “S”』の合計4タイプを設定している。

 実用性を強く意識したSUVなので、『X』でも最低限の装備が備わっているが、少々味気ない仕様。中間の『G』は、外装メッキパーツやアルミホイール、内装仕立てが強化され、見栄えが一気に良くなる。ただし、『X』に対して約15万円高になり、コスパの面で魅力が乏しい印象も。

 そこでオススメしたいのは、『X』に対して約30万円高になる最上級グレードの『Z』。『G』に比べると意匠がさらに強化されるほか、ACCやライン制御型LKA(LKC)が標準装備になるなど、機能装備が一気に強化される。

安全運転支援機能はダイハツが開発したスマートアシストを搭載する。ACCやライン制御型LKAは高速型で、ライズでは上級グレードのみに設定される(写真はダイハツ・ロッキー)。
安全運転支援機能はダイハツが開発したスマートアシストを搭載する。ACCやライン制御型LKAは高速型で、ライズでは上級グレードのみに設定される(写真はダイハツ・ロッキー)。

 ただし、ライズはオーディオレスが標準で、他のトヨタSUVで標準化が進むディスプレイオーディオは純正オプション(約10万円高)となる。同等の機能装備同士で比較すると、ヤリスクロスのガソリン車の方がお得になるケースもあるので、ライズを検討するときはヤリスクロスとの比較もしておくべきだろう。

ライズはオーディオレス仕様が標準となる。ディスプレイオーディオは純正オプションで用意される。
ライズはオーディオレス仕様が標準となる。ディスプレイオーディオは純正オプションで用意される。


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