ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE
第2戦鈴鹿スーパー耐久5H Race
開催地:鈴鹿サーキット(三重県)/5.807km
4月26日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:7000人
4月27日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:8800人
ペースは悪くなかった決勝レース。それだけに惜しまれる接触……
2025年もaprは、全7戦で争われるスーパー耐久シリーズに、FIA-GT3で競われるST-Xクラスに臨む。DENSO LEXUS RC F GT3のドライバーラインアップにも一部変更があり、Aドライバーの永井宏明選手、Dドライバーの嵯峨宏紀選手は従来どおりながら、Bドライバーとして蒲生尚弥選手、そしてCドライバーとして小林利徠斗選手を新たに起用することとなった。
第2戦の舞台は鈴鹿サーキット。昨年は優勝を飾っているサーキットで、『SUZUKA 5時間レース』として、その名称どおり5時間レースを戦う。昨年は9月の開催だったが、今年は4月26〜27日の開催だけに、より高速バトルとなることは必至である。
モビリティリゾートもてぎで行われた開幕戦では、予選2番手を獲得してフロントロウからレースを開始。決勝では3位となったが、得意とは言い難いもてぎで高得点を得られたことは、必ずや後に好影響を及ぼすはずだ。なお、今大会は蒲生選手が、海外レースに出場するため欠場。永井選手と小林選手、嵯峨選手の3人体制で臨む。なお今回のST-Xクラスは6台、全体では52台がエントリーしている。
公式予選 4月26日(土)14:41〜
練習走行が行われた金曜日までは、いつもどおり永井選手の習熟が重視されたが、海外レース参戦により蒲生選手不在とあって、小林選手がBドライバーを務め、ST-Xクラスで初めて予選アタックに挑む。前週に行われたスーパーフォーミュラでは、スポット参戦でほぼぶっつけ本番とも言える状態にもかかわらず、非凡な才能を見せていたとはいえ、念には念を。小林選手のアタックシミュレーションにも力が注がれていた。
予選日は朝から晴天となり西から強風が吹く中、1時間のフリー走行が行われた。ここで小林選手が2分1秒236と、トップとはコンマ1秒遅れぬ僅差で2番手につけ、公式予選ではさらなるタイムアップに期待がかかった。
公式予選はグループ2、グループ1、そしてST-XクラスとST-1クラスが走るグループXの順で連続して計測され、コースオープンの合図と同時に永井選手はコースイン。ところがその直前まで走行していたグループの車両が、スプーンカーブでコースアウトしてストップしたことでセッションはいきなり中断、6分後に再開となった。永井選手は気を取り直して、再度コースイン。計測2周目にトップと0秒928差となる、2分3秒256で4番手につけた。
Bドライバー予選に挑んだ小林選手は、コースインしたその周からタイヤを温め始め、計測2周目には朝のベストタイムを上回る、2分0秒687をマーク。早々にピットに戻ることに。しかし、そこからタイムアップを果たしたライバル車両もあり、小林選手は最終的に5番手となった。A、Bドライバーのタイム合算では4番手となり、DENSO LEXUS RC F GT3は2列目からのスタートが確定した。
その後、行われたC・Dドライバー予選では嵯峨選手がユーズドタイヤで周回を重ね、日曜日の早朝にフリー走行が設けられていないため、決勝に向けたセット確認を実施。2分4秒590をベストにコンスタントな走りを見せていた。
永井宏明選手
「セッティングをアレンジして予選に臨んだのですが、思ったような効果が出ず、ちょっとアンダーステアがきつくてタイムは出せませんでした。鈴鹿は地元ですし、いちばん好きなコースなのでそこは残念ですけど、まわりの人たちが速かったので、しょうがないと思います。明日は距離もあるので、しっかりミスなくチームでつないで、表彰台目指して走りたいと思っています。なんとか可能性はあると思っています」
小林利徠斗選手
「午前のプラクティスではウォームアップなどを考え、午後はまた路面温度も上がってきたのでアタックの仕方を変えてみました。実際、アタックは1周まとめられたという感じはあったのですが、全然タイム的にはトップは見えていません。走らせ方などもっと詰めていかなくてはいけないと思います。決勝ではクルマにできるだけのことをやって、もてぎの時はグループ分けされていましたが、今回はグループ分けがなくて全体の台数が多いですから、上手にレースできるように頑張りたいと思っています」
嵯峨宏紀選手
「まわりが速いですね。決して去年と比べて、我々が遅いわけではありません。結局、レースは相対比較なので、もうちょっと上を求めなくてはいけないのですが、予選までの段階では手も足も出ない状態なので、どうしようかなと思います。ただレースはアベレージを考えると今回は混走なので、そんなに大きな差はつかないんじゃないかなって気がします。まぁ、一発のタイムは出ませんでしたが、決勝重視で明日また切り替えて頑張ります」
金曽裕人監督
「ちょっと永井選手のときにセットをずらしてしまい、それがうまくいきませんでした。小林選手は路面温度が高かったので早めにアタックさせたのですが、もしかしたら次の周の方が良かったかもしれません。もうちょっと上に行けたかなという気もしていましたが、昨年よりも厳しくなったBoPもあり、まぁ、こんなところでしょうか。昨日からロングディスタンスで、5時間でしっかりタイヤがタレない、安定して走るという決勝重視をずっとやっているので、ペースは足りてないですが、2列目ならOKでしょう。決勝はけっこうドタバタになると思うし、サバイバルになると思うので、表彰台は狙いたいです」
決勝レース 4月27日(日)11:00〜
決勝日は朝からほぼ快晴。気温22度、路面温度34度という初夏の天候となったが、午後にはさらに気温も路面温度も上昇しそうだった。11時にフォーメーションラップが始まり、11時5分にシグナルがグリーンとなり、5時間のレースがスタートした。ここで絶妙のダッシュを見せたのが小林選手で、1コーナーまでに2番手に順位を上げると、2コーナーでDENSO LEXUS RC F GT3はトップに浮上。後方にはプロドライバーたちが走らせる車両が遅れず続くも、安定の走りで、トップを守りながら周回を重ねていく。
52台の車両が、やがてバラけて周回遅れの車両が出始めると、上位の間隔は縮まったり広がったりを繰り返すが、小林選手はトップを守り続けていた。しかし、スタートから40分ほどが経過したところで、シケインでクラッシュを喫した車両があり、FCY(フルコースイエロー)が12分も導入された。解除直後、21周目のヘアピンで2番手と3番手の車両が接触し、一台がスピン。これで小林選手の後方にはギャップができて、楽な展開となった。
その7分後にコースオフした車両があり、2回目のFCY導入となった。4分で解除された直後に、またコースオフして動けなくなった車両があり、3回目のFCY導入と、リズムに乗れない時間帯が続いた。
やがて小林選手には2番手の車両が追いつき、スタートから1時間15分が経過した頃、4回目のFCY導入となった。10分ほどで解除となった際、小林選手がバックマーカーに行く手を阻まれたところでトップを奪われてしまう。
35周目に小林選手はピットインし、ここで永井選手に交代。永井選手は4番手でコースへ戻ることとなった。しかし、38周目のヘアピンで別クラスのマシンと接触。右フロントにダメージを負い、ボンネットが浮いて前が見えない状態となり、永井選手はやむなくピットイン。メカニックがボンネットを速やかに応急処置をしてコースへ送り出したが、これで順位は5番手となり、トップとの距離が1周近くまで開いてしまったのは誤算だった。
永井選手のスティントでも2回のFCY導入があり、小排気量車両のクラスは荒れた展開となっていった。69周目にジェントルマンドライバーの義務運転時間、75分間をクリアした永井選手がピットイン。ここで再び小林選手がコクピットに収まった。
レースは残り2時間となった頃、5番手走行中の小林選手と4番手との差は35秒ほどで、相手もGT500クラスの経験を持つドライバーであり、その差は簡単には詰められなかったものの、25秒を切るところまでは縮めた。小林選手の2回目のスティントでも2回のFCY導入があり、この日は結果的にはFCYが8回も導入されるレースとなった。そしてレースも残り45分を切り最後のピットイン。アンカーの嵯峨選手に交代した。
嵯峨選手がコースインした時点でトップからは周回遅れとなり、4番手との差もじわじわと開き47秒に……。それでも嵯峨選手は確実にラップタイムを刻み、接触のないように堅実な周回を重ねて周回。トップとは周回遅れながら125周目にチェッカーを受け、5位の12ポイントを加算した。
次回のレースは5月30日〜6月1日に、シリーズ最大の山場である24時間レースが富士スピードウェイで開催される。大量得点が可能な一戦は、シリーズチャンピオンを獲得する上で、絶対落とせないレースでもある。蒲生選手も復帰し、また助っ人として永井秀貴選手、もうひとりスペシャルなドライバーを追加予定。チーム一丸となって、24時間レース制覇に向けて戦っていく。
永井宏明選手
「僕がぶつかってしまったので、それで勝負権がなくなってしまい、ごめんなさい。ヘアピンで外側にいた車両が、譲ってくれていると思いきや、突然イン側に閉めてきたので、行き場がなくなり接触してしまいました。衝撃でボンネットが完全に浮いてしまい、前が全然見えなくなったので、ピットに入らざるを得ませんでした。それでレースがダメになっちゃいました。それでもポイントは獲れたので、皆さんに感謝です。僕も次の24時間レースでミスなく挽回できるようにします」
嵯峨宏紀選手
「淡々と走るだけになってしまいましたが、上位が別格で速かったのでどうしようもありませんでした。状況的にもう、安全に順位キープというか、前も離れているし、後ろも離れているので、淡々と走るだけになってしまいました。それでもレースウイークを通じて課題は見えているのですが、ではその課題をどう克服するかというのは、RCFの特有の部分でもあり、ちょっとまだ見えていない感じがします」
金曽裕人監督
「長いレースでうちが不幸なアクシデントに巻き込まれました。決勝を見越したセットを入れてあったのですが、もっとアベレージペースを上げられるセットもあったと思います。小林選手がスタートで見せ場も作りましたし、結果じゃない部分で得られたものは多いレースにはなりました。そのなかでの接触はもったいなかったですね、永井選手に否は無くても、これがS耐久の難しさだと痛感。表彰台の一角は狙えましたが仕方ないです。次の24時間は全員ノーミスをスローガンに挑み、念願の優勝を目指します。また、スペシャル助っ人ドライバーも呼んでますので、今後の発表をお楽しみにしてください!」
小林利徠斗選手
「スタートは良かったですね。1スティント目は、さほどペースは速かったわけではなかったのですが、なんとか守っていけました。(自分の)2スティント目は1スティント目より、路面状況も変わり、さらにペースがありませんでした。ペースがないなりに両方のスティントとも他のクラスを上手に意識して走れたので、とりあえず僕のスティントでは安全に走れて良かったかなと思います。ただ、他のSTXと比較してもペースが足りていないので、今後はセットアップの変更も走らせ方の変更も必要があると思います。次の24時間はたくさん走れると思うので、しっかり集中して安全に頑張りたいと思います」