決勝レースの行われる日曜日は前日とは一転して好天に恵まれ、気温は30度を超え、路面温度は50度にも迫る、まるで夏場のレースのようなコンディションになっていた。

 クラブマンシリーズのBレースでは、燃料計トラブルで20番手スタートを強いられた橋本洋平(カーウォッチ86 BS revo)が序盤早々にトップに立って、最後は20秒差の圧勝に。2位に黒岩唯一(埼玉トヨペットGB 86)が入って、続くAレースの盛り上がりに、しっかりお膳立てを整えていた。

 そのクラブマンシリーズのAレースは、まずは予選順位そのままに神谷が田嶋と水野、庄司を従える形から開始される。2周目になると、もうトップグループが後続を引き離すも、ただひとり加わってきたのが菱井將文(CUSCO 86 BS)だった。5列目からのスタートだったが、1周目のうちに大きく順位を上げて、3周目には庄司に抜かれたばかりの水野をパスして4番手に浮上。

 一方、「初めてのレースだったので情報が足りず、内圧低めでスタートしたのが裏目に出てしまいました」と語る田嶋を、庄司がとらえて2番手に上がったのが8周目のヘアピン。これに続こうと菱井はWヘアピンで田嶋をかわそうとしたが、ここでの逆転は許されず。しかし9周目の1コーナーでは菱井も3番手に躍り出る。

 こうした後続のバトルが激しさを増したこともあり、一気にスパートをかけた神谷が一時は1秒7のリードを築いて、そのまま逃げられるかと思われたものの、それを唯一許してくれなかったのが庄司だった。

 ラスト2周は完全にテール・トゥ・ノーズ状態になるも、辛くも神谷は逃げ切り成功。今季2勝目をついにマークして、単独でのランキングトップに立つことになった。

クラブマンを制したた橋本洋平(カーウォッチ86 BS revo)
クラブマンを制したた橋本洋平(カーウォッチ86 BS revo)

「ペースコントロールできるかと思ったんですが、全然そんな余裕なかったですね。最初のうちは田嶋さんと初めてバトルするので、どういう出方をするのか様子見していたというのはありましたが、実のところクラッチの調子が悪くて、シフトポイントが周ごと変わっちゃっていて。本当に長く感じられたレースでした、時にラスト2周が。これでまたランキングのトップに立ちましたが、有効ポイントもあるので、まだどうなるか分かりません。とにかく一戦一戦大事に戦っていくだけです」と神谷。

 その表情が安堵に満ちていたのとは対照的に、「今回は一発もロングも速さに自信があったので、全然コントロールするとか考えず、ガンガン行ったんですが、前の2台を抜くのに時間かかっちゃったのが痛かったですね」と庄司は実に悔しそうだった。3位は菱井が、そして田嶋が4位を獲得。

プロフェッショナルシリーズの決勝スタートでは、織戸学が抜群のスタートをみせた
プロフェッショナルシリーズの決勝スタートでは、織戸学が抜群のスタートをみせた

 プロフェッショナルシリーズの決勝では、織戸が絶妙のスタートを決め、1コーナーにトップで飛び込んだものの、「内圧高めにして、早々に逃げようと思っていた」という佐々木がバックストレートで抜き返すことに成功。続くヘアピンでは織戸に谷口が襲い掛かったが、逆転は許されず。そこからのオープニングラップは、またしても大渋滞が発生する。これにも助けられた佐々木はグランドスタンド前に1秒7の差をつけて戻り、そのまま逃げ続けていくのかと思われた。

 しかし、ピークは予想外に早く、4周目の4秒差がMAXに。その頃すでに後続を引き離していた織戸と谷口が、徐々に佐々木に迫るようになってくる。8周目には谷口をも振り切った織戸が10周目にテール・トゥ・ノーズ状態へ持ち込むまでに。

佐々木雅弘(小倉クラッチREVO 86 BS)がコンマ3秒でトップの座を守りきった
佐々木雅弘(小倉クラッチREVO 86 BS)がコンマ3秒でトップの座を守りきった

「前半は予定通りの展開で、うまく離せたんだけど、路面が上がってきてから織戸さんが近づいてきてからは、本当に厳しいレースになっちゃいました。明らかに“ヤル気スイッチ”入っているんだもん! もう超必死でした」と語る佐々木がコンマ3秒差ながらも逃げ切って、今季4人目のウイナーが誕生。

 そして、「これでシリーズ争いに僕も加われたと思うので、早く追いついて最終戦で逆転、といきたいですね。まだまだ諦めてなんか全然いませんから」ともつけ加えた。

「金曜日までは調子悪かったけど、土曜日の予選から流れが変わって、本当に楽しいバトルができた。あと2周あればね!」と語る織戸は、ランキングのトップを死守。3位でゴールの谷口も、今年はプロフェッショナルシリーズが全戦有効のポイントシステムに改められただけに、このしぶとさが最後に大きくモノを言いそうだ。

 次戦富士でも、果たして5人目のウイナーは誕生するのだろうか? 第5戦は7月21~22日に行われる。

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