2025年3月、F1で4勝を記録したジョーダン・グランプリの創設者エディ・ジョーダンが、76歳で永眠した。ビジネスセンスに長けたエディは、若手ドライバー発掘でも注目を集め、自らのチームを価値を年々高めていった。同じイギリス系チームの重鎮たち、ケン・ティレルやフランク・ウイリアムズ、ロン・デニスのような威厳とは縁遠かったかもしれないが、コメディアンのような風貌とトーク力で、新しいオーナー像を築け上げたのは間違いない。
ただ、それはあくまで対外的な印象であって、実際のエディ・ジョーダンは我々が知る彼とは違ったのかもしれない。
アンディ・スティーブンソンは現在、アストンマーティンF1でスポーティングディレクターを務めている。彼のF1キャリアはジョーダン・グランプリとともに始まり、今年で35年のキャリアを誇る大ベテランだ。彼はれっきとしたエディ・ジョーダンの門下生である。当初はエディから認められず、いじめのような扱いを受け続けた。それでもスティーブンソンは、めげることなくやがてそれがエディの“やり方”だと気づくようになる。それがエディ流育成術。
ジョーダン・グランプリ一筋では働き続けたスティーブンソンは、長い時間けかけエディの信頼を勝ち得て、チームの重要ポストにまで上り詰めた、まさに成り上がり人生。そんな彼だからこそ、外の人間では知り得ない真実のエディを知る人物と言える。
