レイトンハウスとは不思議なF1チームだった。戦績だけを見れば、未勝利でポールポジションもない、あるのは数回の表彰台どまりの“標準的”なチーム。しかし、F1ブームが日本を飲み込んだあの熱狂的だった時代に、トップチームにも負けない存在感を示した。

 レイトンハウスは単なるスポンサーの立場からチームを買い取り、F1コンストラクターとなった。同じ道を歩んだ代表的なところで言えば、ベネトンやレッドブルがそうだ。違うのはレイトンハウスはチャンピオンチームになれなかったということ。ただ、チャンピオンとまではいかなくとも、トップチームの一角を担える可能性は充分にあった、それは間違いない。

 強いチームを作る際にもっとも重要なものは『人』だ。『人=才能』がなくして、組織は強くなれない。それが揃っていたからこそレイトンハウスには、トップチームになれる可能性があったと言えるのだ。しかし、それが叶わなかったのにも理由はもちろんある。

 ひとつはやはり経験だ。若いチームだからこそ、才能の“原石”は揃っていても、そのままではただの石ころだ。それを磨く術を知って初めて眩い輝きを発する“宝石”になる。その術を知るためには経験が必要だ。

 レイトンハウスの未来に可能性を見出せた一番の理由は、このチームには若き日のエイドリアン・ニューウェイがいたことが大きい。F1の歴史におけるニューウェイの名は、偉大なるチャンピオンドライバーたちにも引けを取らないだけの存在感にある。

 ただ、レイトンハウスにいた頃のニューウェイには経験が足りなかった。それは圧倒的にだ。才能があったことは当時ともに働いていた者たちの証言からはっきりする。しかし、経験がないゆえにニューウェイ自らは自分自身に自信を見出せず、周りからも100%の評価が得られていなかった。

 今のニューウェイからは想像できない若き日の苦悩があったのだ──

エイドリアン・ニューウェイ“覚醒”前の苦悩。風洞施設の不備が生んだ“諸刃の刃”レイトンハウスCG901
若き日のエイドリアン・ニューウェイ(手前) 1990年のテストにて

 毎号1台のF1マシンを特集し、そのマシンが織り成すさまざまなエピソードを紹介する『GP Car Story』最新刊のVol.52では、レイトンハウスが最後に表彰台に立った1990年シーズンのCG901を特集。

 このページでは、現在発売中の最新刊『GP Car Story Vol.52 Leyton House CG901』に掲載されるエイドリアン・ニューウェイのインタビューを特別に全文掲載。インタビューから伝わってくるのは、当時のニューウェイが感じていた苦しみだ。フランスGPでの表彰台直後にチーム離脱となった経緯や、CG901開発の真実は必読。この時の経験が間違いなく、のちの彼のキャリアの礎になったことがわかるインタビューとなっている。

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 エイドリアン・ニューウェイはマーチ・レイトンハウスの日々を、たとえその終わり方が喜ばしいものではなかったとしても懐かしく振り返ってくれた。

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