F1での長いキャリアを経て、今は現場から離れた生活を送っているが、豊富な情報源を持つニック・リチャーズ氏のコラム。裏情報を知る彼が、F1の政治問題をテーマに、独自のシニカルな視点で時事に切り込む。
───────────────
先日、人生というものは自分のような年寄りにもまだ驚きを与えてくれるのだということを思い知らされた。きっかけは、我々の忠実で有能な家政婦が、しばらくの間、故郷に戻らねばならなくなったことだった。理由は、妻から事細かに説明を受けたのだが、彼女が部屋を出た瞬間に忘れてしまった……。
我々の家政婦は責任感の強い人なので、私の妻にそのことを伝えると同時に、親戚(姪か、従妹か、孫か)が、当面の間私たちの世話をするため、すでにこの英国の片隅にある我が家に向かっていると告げたらしい。
それ自体は私にとって特に興味のある話ではなかった。知らない人物が急に同じ屋根の下に暮らすことになったというだけのことだ。しかし新しい家政婦は、シンガポールGPの直前に用意してくれた日曜のランチで、その腕前を見事に証明してみせた。
ここから先は autosport web Premium
会員限定コンテンツとなります
または
