F1での長いキャリアを経て、今は現場から離れた生活を送っているが、豊富な情報源を持つニック・リチャーズ氏のコラム。裏情報を知る彼が、F1の政治問題をテーマに、独自のシニカルな視点で時事に切り込む。
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ごくたまに、グランプリが常識的な時間に終わり、私のような年寄りが外に出るにはまだ暑すぎるようなとき、その週末に何が起きたのかをより深く理解するため、テレビをつけっぱなしにして、レース後の分析番組を観ることがある。
イタリアGPの週末は、妻が不在で(ロンドンかその近くでブリッジのトーナメントがあって出かけていた)、家政婦も個人的な事情で急いで帰らなければならなかったという恩恵を受けて、私は日曜日、ひとりきりで過ごした。まさに至福の時、というわけだ。
妻と忠実な家政婦は、地元の若い料理人を手配してくれていたので、彼女が一日に三度、食事を作り、給仕し、後片付けをしてくれた。彼女はとても控えめで、食事ができたと知らせるベルを鳴らした時以外、私は彼女の存在を感じることがなかった。私に言わせれば実に優秀な料理人だった。
リラックスして過ごせた日曜日、私が住む地域でイタリアGPが午後2時半に終わった時、わざわざ庭に出て灼けるような日差しを浴びる気などさらさらなかった。素晴らしい白ワイン、2022年シュヴァリエ・モンラッシェ・レ・ドモワゼルが残っていたので、それを楽しみながら、テレビを通して、ドライバーやチーム代表、評論家たちの話に耳を傾けることにした。
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