しかし、実際のところ私は琢磨を今年のインディ500の有力候補と見ていた。真摯な姿勢に裏打ちされた彼の勇気、強いマシン、そして歴史に残る勝利への欲求が、彼を単なるファンに好まれるドライバーから真の優勝候補へと昇華させた。

 もちろんこれは、インディ500を初めて見たスペイン人ファンに嬉しい驚きを与えるほどの速さを見せたホンダエンジンや、他のどのチームよりもよいマシンセットアップを実現させた素晴らしいチーム力あってのものだ。

サイン会を行うフェルナンド・アロンソと佐藤琢磨
サイン会を行うフェルナンド・アロンソと佐藤琢磨

 事実、アンドレッティ・オートスポーツの琢磨、アロンソ、ライアン・ハンターレイ、それにアレキサンダー・ロッシはレースを通して燦然と輝き、勝利を争っていた。

 ホンダエンジンは、非常にアグレッシブである代わりにいくらかの代償を払った。彼らは信じられないほど速かったが、丈夫なシボレー製エンジンと比べると少し壊れやすかったのだ。

 実際、ハンターレイとアロンソはエンジントラブルによってレース途中でのリタイヤを強いられた。また、レースが再開された後にスペイン人ドライバーのセルビアが多重クラッシュに巻き込まれ、彼もリタイヤを余儀なくされてしまった。

 勝利を争っていたふたりのスペイン人がレースから姿を消したのは、すべてのファンやインディアナポリスまではるばる足を運んだスペイン人ジャーナリストにとっては残念な瞬間だった。

 しかし、この悲しい結末にも関わらず、今回のレースは素晴らしい旅のひとつであり、忘れられない思い出のひとつとなった。

 アロンソはたとえ完走してもこのレースで勝てなかったかもしれないが、レースをリードしながら戦い、まだトップを争えるスピードがあることを示した。そしてインディカーに興奮を呼び込むことができたのだ。

 琢磨は素晴らしいレースで最後のひと押しを決め、全米にその名を轟かせた。2012年に辛酸を舐めた佐藤にとっては忍耐の勝利となり、インディカーにおいてもF1と同じくらい尊敬された人物の勝利だった。私もアロンソと同じように。来年の5月が待ちきれない。

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