ウイリアムズのシート喪失が決まった時点で一度は引退を決意しながら、ランス・ストロールの教育役を必要としていたウイリアムズからの求めに応じてF1復帰を決意したマッサにとっては、自分を評価し必要としてくれる『リスペクト』こそが重要な要素でした。
今年ウイリアムズが契約を更新しないと決めた時点で引退を決めたマッサにとって、最後の一言は彼らのリスペクトを感じられなくなったことをチクリと言ったものだったように感じられました。
最後の愛弟子として育てたストロールは、アゼルバイジャンGPで表彰台を獲得するなど目立った結果も残し成長を見せましたが、予選一発やタイヤマネージメント、マシンセットアップや開発といった総合的な実力としてはまだまだ。
そんなストロールの成長ぶりについて聞かれたマッサは様々な事例を挙げながら「F1は様々なことを学ばなければならない複雑な世界だけど、彼はどんどん成長し、その成長ぶりは必要以上に速かった」と延々と評価。
しかし最後には「彼には良い先生がいたからね!」と言って会場の笑いを取ります。それが言いたくて長々とおだてたんですね(苦笑)。
会見の前には、会見の出席者たちが集まって待機していたのですが、同席していたストロールはF3時代から仲の良いエステバン・オコンと楽しそうに談笑していて、それを見るマッサは少し寂しそうな表情を見せていました。
自分を必要としリスペクトしてくれる人がいないのなら、無理してまでF1にしがみつきたいとは思わない。常日頃そう語ってきたマッサが引退を決めた理由が、それを見てはっきりと分かった気がしたのでした。