それでは、アブダビGPはその帰り道に寄っただけなのか?
「いやいや、私にとってはF1のパドックも仕事をするうえでの重要な社交場です。ここには世界中の政治・経済・芸能界の著名人が集います。彼らと出会い、話すことは非常に刺激的な経験になります」
もうひとつ、憲孝氏がアブダビを訪れたのには理由があった。それはアブダビGPがF1ラストレースとなったフェリペ・マッサの激励だ。マッサと交友関係を持つ憲孝氏。じつは今年の日本GP直前に東京を訪れていたマッサとダニエル・リカルドを銀座のすきやばし次郎に招待したのは、憲孝氏だった。
「昨年、自分で行ったら、予約がないので入ることができなかったと聞き、今年は私が手配しました」(憲孝氏)
F1はアブダビGPをもって今シーズンを終えたが、憲孝氏にオフシーズンはない。東京オリンピック関連の仕事も手がけているからだ。
そういって、別れた憲孝氏はバーレーンからアブダビGPを訪れていた政府要人にさっそく呼び止められ、談笑しながらパドックを歩いていた。
F1がほかのカテゴリーと異なり、モータースポーツの頂点にあるのは、ドライバーやマシンが最速だという技術的な理由だけでなく、パドックが著名人たちで華やかに彩られているからだ。そして、その中にようやく日本人も仲間入りし始めている。