「彼らはフランス・ヴィリーのエンジンエンジニアたちとも、協力して仕事をしている。車体後部のエンジンを含めたパッケージングをどうデザインするかによって、マシン軽量化と空力性能が大きく変わってくるからだ。なのでエンストンとヴィリーの間で、頻繁にコンセプト変更のキャッチボールが行われる」

 中でも特に苦労するのが、燃料タンクのデザインだという。

「レース中は最高105kgの燃量を搭載しなければならない。その制限の中で車体とエンジンエンジニアたちは協力して、最適な形状と大きさを割り出して行く。燃料タンク後部は恒常的に、V6ターボエンジンが発する高熱にさらされる。これもかなり、頭の痛い問題だ」

「長さと幅で、かなり高いレベルでの妥協点を見つけ出す必要がある。たとえば幅広のタンクにすると、冷却系の効率悪化と空気抵抗の増大を招く。一方でERS(エネルギー回生システム)の効率を増せば、それ自体の温度は高くなるもののラジエターを小型化できる。同時に、空力効率の向上も見込めるわけだ」

(その3に続く)

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