フォース・インディアのレース・ストラテジストはオリバー・ナイトンというベテランのほかに、2015年にマクラーレンから移籍してきたバーニー・コリンズがいる。マクラーレン時代にはジェンソン・バトンのパフォーマンスエンジニアを務めた経験を持ち、松崎エンジニアによれば「非常に思いっきりがいい」決断を下すという。そのコリンズが選んだ戦略は、ハミルトンによるアンダーカットを阻止するため、早めの1ストップ戦略だった。
結果的にハミルトンはエンジンの設定に不具合を抱えたためにペースダウンして、直接対決することはなかった。それでも予定よりも早めにピットインしていたからこそ、8周目にピットインしていたライコネンを最終ラップでとらえ、実力で3位の座を手にする結果となった。
レース後、コリンズは「本当にギリギリの選択だった。でも、チェコ(ペレス)がうまくやってくれた」と喜んでいた。そして「チェコも素晴らしかったけど、ニコも今日は素晴らしいレースをしてくれたわ」とチームメイトを讃えた。
ペレスをピットに呼んだ4周後、コリンズはニコ・ヒュルケンベルグをピットインさせた。このときヒュルケンベルグはソフトからスーパーソフトへタイヤを交換。残り31周をスーパーソフトで走るというアグレッシブな戦略を授けていたのだ。
今週から始まるオーストリアとイギリスの2連戦も、フォース・インディアの得意なパワーサーキット。コース上でのパフォーマンスとともに、ストラテジストのキレのある判断にも注目したい。