5月15日という期限に絶対的な拘束力があるわけではないと主張する者もいる。確かに昨年のマクラーレン・ホンダ×トロロッソ・ルノーのスワップという前例がある。だが、その当事者だったホンダとルノーは、期限が過ぎた後に供給先を変更して、再びFIAに対して借りは作りたくない。

 またレッドブルにとっても、5月15日の時点でしっかりとした契約をPUマニュファクチャラーと締結していないという事態は、不利益なこととなる。

 というのも、もしレッドブルが5月15日までにルノーかホンダかを決定しなかった場合、ルノーもホンダもFIAに通知する提出書の欄にはレッドブルは記載できない。つまり、その時点でレッドブルはFIAが決定する「オブリゲーション(義務)PU」を使用しなければならなくなる。

 この場合、FIAは公平性の観点から、最も少ないチームに供給しているPUマニュファクチャラーを割り当てることになり、それは事実上、ホンダとなる。だったら、レッドブルがホンダを希望しているのなら、どっちに転んでもホンダを搭載でき、物事が丸く収まりそうだが、実際は違う。

 というのも、オブリゲーションPUを割り当てられた場合、FIAが設定する最低額をレッドブルはホンダに支払わなければならなくなるからだ。

 当然ながら、レッドブルがホンダと選ぶ最大の理由はワークス体制。トロロッソともホンダはワークス体制で3年契約を結んでいるが、レッドブルとはより強固なワークス体制が結ばれる可能性が高く、それはPUの無償供給を意味する。そして、その条件を勝ち取るためには、レッドブルは5月15日までにホンダとの交渉をまとめなければならないのだ。

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