開幕戦は毎年、FIAの車検が大忙しとなる。まだレース本番を走ったことのない各チームの新車から、どこかしらレギュレーション違反が発覚するからだ。昨年はレッドブルの搭載するルノー製パワーユニットが、単純に違う仕様のものを載せてしまうミスがあり、フリー走行を走れなくなる騒動が勃発した。

 では今年はどうなのかと知り合いの車検係員に聞いてみると「昨年に比べて車体レギュレーションが大きく変わってないので、そんなにドタバタじゃない」とのこと。「ただし」と、彼は言う。

「今年はマシンの車重をはかる重量計を縦方向に100mmも伸ばしたんだ」

 なぜかというと「重量計に載せると、はみ出してしまうマシンがある。各マシンのホイールベースが、どんどん伸びているんだよね」というのだ。

 ホイールベースを長くすると、単純にフロア下を流れる空気の量が増える。それによるダウンフォースの増大が、おそらくホイールベースを伸ばす意図であろう。車体レギュレーションが大きく変わった2年前、それまで全長3mだった重量計は、すでに3m20cmに延長されていた。それでも足りなくなって、今回さらに10cm伸ばしたとのことだ。

「カーボン製アダプターを入れ替える改造をしないといけないから、たった100mm伸ばすだけでも8000ユーロ(約100万円)かかってるね」と、こんなところにも意外な出費がある。

 さらにマシンを上下させて、地上面からマシン下部までの高さを測る機械も下降幅を今年50mm増やしたという。こちらはマシン後部のほうが車高が上がっている、いわゆる「レーキ角」が、さらに大きくなっているからだという。これもダウンフォースを増加させる方策のひとつ。

 車検の際、レーキ角が大きすぎるとタイヤがつっかえて測定できなくなってしまう。昨年そのたびにタイヤを外していたのが、レッドブルとマクラーレンだったということだ。やはりマクラーレンは、レッドブルの空力に追随しているということか。ただし本家と違うのはダウンフォースが増えるぶん、ドラッグも増えてしまうという欠点を、まだ解決できていないところだろう。

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