
最大の要因は、セットアップ能力だ。バーレーンやハンガリーがそうだったように金曜の走りだしがスムーズな時は日曜まで良い流れでいけるものの、イニシャルセットアップが外れていると迷走してしまい、挽回することができない。
車体の空力性能が不充分でなおかつ非力なパワーユニットを搭載していることが、セットアップを難しくしたのも事実だ。パワフルなエンジンがあればそれだけダウンフォースが付けられるが、非力なエンジンではウイングを立てることができず、セッティングの幅が狭くなってしまうからだ。
車速の伸びを見ても、ルノー勢よりも劣っていたという。しかしそれはパワーやトルクの問題というよりも、空力セッティングによるところが大きかったとあるチーム関係者は語る。
「ウイングを立てていなければ、車速はスムーズに上がっていく。ということは車体本来の空力効率が悪いわけではないし、パワーもルノーに較べて劣っているわけではない。しかしウイングを立てなければクルマがまとまらないから、ああするしかない」
前半戦は、マシン開発の停滞も苦戦の要因になった。オーストリアGPに投入した新型フロントウイングはデータ上ではダウンフォース増が確認できたにもかかわらず、コーナリング中のバランス変化が過敏で結局最後まで使いこなすことができなかった。パワーユニットもカナダGPにスペック2を投入してからの進歩は乏しく、フェラーリ勢飛躍の鍵となった予選スペシャルモードも未だに実用化できていない。
その結果、トロロッソの車体はモナコGPから、そしてパワーユニットはカナダGPからほとんど進化がないままシーズン前半戦を終えてしまった。
ある意味では、トロロッソ・ホンダはマクラーレンと似たような状況にあったと言えるだろう。マクラーレンもスペインGP以降のマシン開発が停滞し、中団グループの中で相対的なポジションをズルズルと下げていった。ホンダとルノーの出力はほぼ同じで、ウイングを立てなければ走れないのも似ていた。
しかしトロロッソ・ホンダが12戦で5回しか入賞できなかったのに対し、マクラーレンは11回も入賞を果たしてトロロッソ・ホンダの倍近いポイントを稼いでいる(トロロッソ28点、マクラーレン52点)。
それはマクラーレンがレース戦略も含めて自分たちの能力を最大限に引き出し、結果に繋げてきたからだ。その中で、8回の入賞を果たしているフェルナンド・アロンソのドライビングとレースをまとめ上げる力も大きな役割を果たしていることは揺るぎない事実だ。
トロロッソ・ホンダは全てが上手くまとまれば中団トップに立てる力があったにもかかわらず、それを安定して発揮することができなかった。それが“アップ&ダウン”の激しさにつながった。常に実力をフルに引き出せていれば、マシンパッケージの特性的に苦手とするサーキットでも、中団トップとまでは言わずとも2台揃ってQ1敗退などということはなかったはずだ。
