「キャリブレーション(セッティングの調整)に関していえば、正直、そうかもしれない。でも、(スペック3投入そのものが)時期尚早だったとは簡単に言えない。なぜなら、もしこれ(スペック3)を温存して、来年出していたら、いまと同じことを来年やっていたかもしれなかったわけですから」

 スペック3で遭遇した主な問題は、オシレーションだ。ホンダは新しいスペックを実戦投入する前、HRD Sakuraのギヤボックス付きのベンチでオシレーションを確認してからグランプリに投入する。これは、スペック3に限らず、ほかのパワーユニットも同様で、スペック1とスペック2では問題になる挙動は出ていなかったが、最新のスペックではそれが出た。どんなにシミュレーション技術が発達しても、100%実戦と同様のテストを行うことは不可能だ。今回、ホンダが遭遇した問題は、そのひとつだった。

 問題が出ている状況に関して、田辺TDは「アマチュアだと言われても仕方がない」と自戒したが、この経験によって、ホンダの技術力がいままで経験していなかったステージに上がったことは間違いない。

「エンジンをギヤボックス付きのダイナモのテストするという車両シミュレーションでの確認方法において、まだ見切れていなかったところがあったのかもしれない。またひとつ学びました」(田辺TD)

 トラブルによって技術は一時停滞するが、それは新たな前進を開始するきっかけにもなる。そのことを感じさせた2連戦だった。

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トロロッソ・ホンダ辛口コラム アメリカ&メキシコGP編:“戦略的PU交換”で速さを生かせず、ランキング9位に後退

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