1セット目のタイヤをチェックした結果、摩耗量に問題はない。しかしレース中盤を迎えハミルトンはパワーユニットの出力低下を感じ始めた。
シーズン終盤に来て年間3基でローテーションしているハミルトンのパワーユニットはマイレージが厳しくなり、さらには排気温度の上昇症状が発生していた。ブリックスワースのメルセデスAMG HPPと連携して対策が練られ、パワーユニットのリスクを下げるためのモードへの切り替えを余儀なくされた。
HAM「僕のエンジンはOK?」
MGP「状況は常にモニターしているよ。今のところは大丈夫だ」
HAM「パワーが落ちている」
MGP「OK、チェックするよ。PUの温度が上がっているが、自動的にケアされるから大丈夫だ」
HAM「雨が降ってくることを願うしかないよ」
後方からは35周目までスーパーソフトで引っ張ってソフトタイヤに履き替えたフェルスタッペンが猛スピードで追い上げてきた。タイヤの差とパワーユニットの状況を考えれば、すでに勝負はあった。
40周目のメインストレートでハミルトンは特に抵抗することもなくフェルスタッペンに首位を譲り渡した。
MGP「P2だ。PUをターンダウンしよう」
HAM「僕らにできることは何もないのか?」
MGP「やれるだけのことは全てやったよ、ルイス」
HAM「BOTもタイヤに苦しんでいる?」
MGP「苦しんでいない。PUを落としているんだ」
HAM「これで大丈夫?」
MGP「あぁそう思う」
メルセデスAMGとハミルトンは2位キープの走りに切り替えていた。しかし44周目、フェルスタッペンが周回遅れのエステバン・オコンとまさかの接触で後退。期せずしてハミルトンは再び首位に戻った。