独走でレース終盤を迎えたボッタスの関心は、今年から導入されたファステストラップポイントだけだった。これに対するアプローチも、メルセデスAMGは残り10周を切った早い段階から相談していた。
メルセデス「まだ君がファステストラップを保持しているよ」

ボッタス「どうするんだい? ピットインしてタイムアタックをするのか? それともこのタイヤのままアタックをする?」

メルセデス「我々はできるだけリスクは冒したくない。だからピットインはしない」

ボッタス「了解。でも僕は26ポイントが欲しいんだ。だから最後にタイムアタックをするよ」

 54周目にフェルスタッペンがアタックを行ない1分26秒540の最速タイムを記録し、2番手以上の芽がなくなったハミルトンも「僕はあのポイントが必要なんだ、ボノ」とレースエンジニアのピーター・ボニントンに懇願して「ストラット10を使っても良いぞ」と許可を得て1分26秒057でこれを塗り替えた。

 しかしボッタスは56周目にしっかりとクール&チャージラップを挟んでからアタックを行ない57周目に1分25秒580で圧倒的な差を付けて“26ポイント目”もかっさらっていった。まさに完勝だった。

バルテリ・ボッタス(メルセデス)
バルテリ・ボッタス(メルセデス)

メルセデス「よくやった、バルテリ。君が2019年オーストラリアGPウィナーだ! 素晴らしいドライブだった!」

ボッタス「どうだ!? XXX! みんなありがとう!」

メルセデス「去年の雪辱を果たしたな」

ボッタス「まさにそうだ。いろいろ心配してくれたヤツら、おととい来やがれ!」

 2018年は実質3勝を挙げるレースをしながら、不運やチーム戦略によって未勝利に終わった。ボッタス自身のドライビングに対する世間の評価も大きく落ちた。

 そんな苦境の中でも反論せず黙々と努力を続け、ようやく結果で証明してみせた。ボッタスの心の叫びが爆発した瞬間だった。

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