それが3戦目の中国でようやく、「少しずつ、自信を持って走れるようになってきた」と、前向きの言葉が出始めるようになった。大苦戦したバーレーンGP後のテストにガスリー自身は参加しなかったものの、チームがセッティングの方向性を見直したことも中国での改善に繋がったようだ。

 RB15をドライブする上でガスリーが最も神経質になっているのが、コーナー立ち上がりでのアクセルワークだ。「すぐにでもスロットルを開けたいのに、よほど繊細に操作しないと瞬間的にオーバーステアが出て、リヤが暴れてしまう」

 そのためガスリーは、「今までのアグレッシブな走り方を、見直さないといけないかもしれない」と、ドライビングスタイルの変更も示唆していた。

 レース中の周回ペースは、前後が空くクリーンラップが続いたこともあるが、かなり安定したものだった。実戦を走りながら、ある程度RB15の御し方を習得したのではないか。そう尋ねるとガスリーはちょっと困ったような表情で、「いやあ、まだまだだね」と答えるにとどまった。その口調からは、まだ完全には自分の走りができていない印象だった。

 とはいえダニエル・リカルドでさえ嫌気が差して出て行ったほど、今のレッドブルはフェルスタッペン偏重のチーム体制である。存在感をアピールするのがただでさえ難しい環境で、ガスリーはウィンターテストでマシンを大破させる大失態を演じてしまった。

 その意味ではガスリーはゼロからどころか、かなりのマイナスの位置から新天地でのスタートを切ったことになる。そう考えれば第3戦での予選6番手、レース6位入賞という結果は、復調への第一歩と言えるのではないだろうか。

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