また会見の終盤には、スペインGPがダイムラーCEOとして最後のグランプリとなったディーター・ツェッチェ博士が会見場にやってきた。ツェッチェを見つけたウォルフは、再び会見を中断したものの、椅子から離れることはなく、マイクを使って、ツェッチェに感謝の言葉を贈った。

「彼はこの素晴らしいブランドを代表する者としてわれわれを信頼し、私たちは誇りを持ってそれに取り組んできた。彼ほどスタッフに権限を与えるCEOはそう多くない」

 それを聞いたツェッチェは、黙って右手を上げて、感謝の意を表して会見場を出て行った。

スペインGPを最後にダイムラーCEOを退任するディーター・ツェッチェ
スペインGPを最後にダイムラーCEOを退任するディーター・ツェッチェ

 こういうシーンは、例えばフェラーリでは決して見ることはできない。2018年までのフェラーリは、サーキットに会長(故セルジオ・マルキオンネ氏)が来ると、多くのスタッフが会長をサポートし、時にはチーム代表(マウリツィオ・アリバベーネ氏)がセッション中にもかかわらず、サーキットに到着した会長を出迎えるというシーンを見かけたものである。

 またスペインGPではウォルフが、現在のF1会長のチェイス・キャリーに代わって、その後釜に収まるのではないかという噂が広まったが、すぐに否定している。

「多くの憶測があるようだが、私はメルセデスという特別で、素晴らしいチームにいる。私はチームの株主であり、そして素晴らしいメンバーとともに仕事できることに幸せを感じている。それは私にとって重要なものだからね」

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