イギリスからシンガポールへのフライトはひどいものだった。恐怖の一家の近くに座る羽目になったのだ。私の隣の席には3歳の男の子、両親は赤ん坊と一緒に前の列に座っていた。

 父親は自分以外のことには完全に無関心、母親は大きなボトルでワインを飲み続けていた。仕方なく私が男の子の世話をすることに。すぐに眠ってしまったのを見て母親は喜んでいたけど、なんであっという間に熟睡したのか知っている? この子に飲ませたのはレモネードじゃなくてジン・トニックだったからかもよ。

 そうこうしながらシンガポールに降り立つ。ジカ熱が流行しつつある国だ。地元の人たちはかなり深刻に受け止めているというが、ほとんどの女性はいつものホットパンツとタンクトップという服装。ジカ熱も今までの騒動、たとえば鳥インフルや日本の台風と同じルートをたどるんじゃないかと私は考えている。全世界、中でもF1やフォーミュラEを撃滅するかもしれないと大騒ぎされながら、すぐに忘れられてしまうのだ。

火のないところに煙は立たず
 フェラーリのボス、マウリツィオ・アリバベーネは、シンガポールに来るのは二度とごめんだと思っているかもしれないね。去年は、チームスタッフたちの不適切な行動に関して謝罪文を発表しなければならなかった。彼らはベッテルが勝った後、セキュリティスタッフの指示を無視し、カメラマンたちを押しのけて表彰台下に詰めかけたのだ。

 今年はもう少し早い段階で事件が起きた。アリバベーネ自身にだ。フェラーリのスポンサー、マールボロを有するフィリップモリスのボスを務めた彼が、シンガポールの街なかでたばこのポイ捨てをして逮捕されたというウワサだ。拘置所で数時間留置された後、莫大な罰金を支払って釈放されたという。その後、シンガポール当局がこのうわさを否定したけれど、どうなんだろう。火のないところに煙は立たないというではないか。

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