この週末はドライの土曜まで中団勢の下位に沈み、ふたりとも「セットアップのバランスがもうひとつ……」とコメント。予選はクビアト14番手、アルボン17番手で今季ワーストに近い。
高速エリアのセクター1と2ではウイリアムズにも迫られ、「雨天を意識したプラス・ダウンフォース設定にしているのか」と個人的に思えた。
これまでもトロロッソはウエット路面条件下で積極的に走り込み、それはフェルスタッペン在籍時代から見られた。『雨のトロロッソ・ホンダ』――3位表彰台と6位は、けして偶然の結果とは言えない。クビアトもアルボンもコーナーで自信を持ってライバルを次々にかわした。
それにしても上位陣にスピン、クラッシュがなぜ最終コーナー・エリアで多発したのか。シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)、カルロス・サインツJr.(マクラーレン)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)までも……。
今年、最終コーナーの一部(エイペックス付近)には荒れた路面を補修した“パッチ舗装”がされてあった。旧6.8kmロングコース時代と同じレイアウトのこのあたりは路面劣化が進んでいたのだ。
もうひとつ気になったこと。ターン16と17の進行方向左側にはドラッグレース用のコースがある。その舗装はサーキットのそれと違い真っ黒で、最終コーナー外側のターマック・エリアも見るからにオイル混じりのような路面……。初日のドライセッションで何台もこのエリアでコースオフ、タイヤグリップ低下もあるが路面のグリップ変化が気になった。
雨の日曜、まるでワルツを踊るかのように“アイススケートリンク”の上を彼らは滑った。ステアリングもブレーキも制御不能のまま、「メルセデス看板」に突っ込んだ。ハミルトンは何とかそれを壊さずに済み、レース後にアルファロメオ勢の降格によって9位入賞。競技後まで『第64回メルセデス・ドイツGP』のカオスはつづいた。