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F1 ニュース

投稿日: 2019.09.20 11:41
更新日: 2019.09.20 12:29

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第11回】スパ&モンツァでトップスピード不足が大きな足かせに。混戦の中団を抜け出せず

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F1 | 【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第11回】スパ&モンツァでトップスピード不足が大きな足かせに。混戦の中団を抜け出せず

 決勝レースの戦略は、2台とも1ストップ作戦でした。ケビンが第1スティントでアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)に追い抜かれたのは仕方ないですが、ペレスを抑えてよくやってくれました。なるべくハードタイヤを履きたくなかったので20周目までソフトタイヤで引っ張ってからミディアムに履き替えました。

 この後のペースは良くて、ペレスがピットインした際には5秒以上の差を築けている予定した。しかしサインツがピットストップした際に右フロントタイヤがちゃんと締まっていないままコース上に出てしまい、ピットストレートでストップ。これでバーチャルセーフティカー(VSC)が出てしまいました。

 ペレスはこのVSCの最中にピットストップを済ませたので、一気にケビンとの差が詰まりました。1度目のリスタートはなんとか持ちこたえましたが、ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)がコース上に止まったことで2度目のVSCが出て、この際のリスタートで抜かれてしまいました。

 その後はノリスにずっとプレッシャーをかけられて、最終的にはケビンがミスをしてブレーキをロックさせてしまい、ノリスとピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)の2台に抜かれてしまいました。さらにこのロックアップでタイヤを傷めてしまったので、2回目のピットストップをせざるを得なくなり、これでポイント獲得の望みはほぼなくなりました。

 またこの頃から油圧が落ちるトラブルが出ており、様々なことを試しながらなんとか最後まで走ろうとしていたのですが、パワステにも影響が出そうな段階まで油圧が落ちてしまったので、リタイアすることにしました。

 ロマンはスタート直後の1コーナーでガスリーに後ろからぶつけられ、その後はクルマのバランスが非常に悪くなってしまいました。その影響で7周目にアスカリシケインでスピンし、これでタイヤを壊したためピットイン。その後もバランスは改善せず、まったく戦えないまま16位でレースを終えました。

 とにかく、この2戦はトップスピード不足に苦戦しました。今年のクルマにはいくつか弱点がありますが、空力効率もその一つだと思っています。

 次戦シンガポールGPはコースレイアウトの特性上、ストレートスピードを要求されないサーキットなので、その点の不安はありません。それでもウチのクルマは低速コーナーを苦手としているので、どれだけそこでクルマを合わてドライバーに自信を持って走ってもらえるかがカギとなります。

 最後に、先日報道されたリッチ・エナジーとのパートナーシップ終了についてです。ウチのチームは他と少し状況が違っていて、たとえスポンサーがいなくなったとしても、チームオーナー(ジーン・ハース氏)にはスポンサー無しでチームを経営できるだけのお金があるので、今回の一件によってチームの業務に何か影響が出るようなことはありません。2016年のチーム創設時からこの点は変わっていないですし、そういうところには助けられています。ですから今シーズン終盤に投入が予定されているパーツも予定どおり進んでいます。

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