2019 ロシアグランプリ 決勝
ハミルトン、1ストップ戦略で僅差の戦略戦を制す
2019年9月29日、ソチ
メルセデスのルイス・ハミルトンがロシアグランプリを制しました。2番グリッドからスタートしたハミルトンは、バーチャルセーフティカー導入周回中にミディアムからソフトへ交換する1ストップ戦略を採りました。
チームメイトのバルテリ・ボッタスも同じ戦略で2位を獲得しました。スタート直後と中盤にセーフティカーが導入された53周のレースでは、広範囲に渡る戦略が見られました。
■キーポイント
・トップ10グリッドでは、メルセデスの両ドライバーのみがミディアムタイヤでスタートしました。異なる戦略を採用したフェラーリは、ソフトタイヤでスタートしました。
・メルセデスの2台は、フェラーリよりも長いオープニングスティントを走行し、バーチャルセーフティカー導入周回中にピットストップを行い、ソフトタイヤへ交換しました。
・3位を獲得したシャルル・ルクレールは、メルセデスのピットストップの2周後、セーフティカー導入周回中に戦略を変更し、ソフトタイヤへ交換する2回目のピットストップを敢行しました。
・最も順位を上げたドライバーは、レッドブルのアレクサンダー・アルボンでした。ピットレーンからスタートしたアルボンは、ミディアムからソフトへ交換する1ストップ戦略で5位を獲得しました。
・トロロッソのダニール・クビアトのみがハードタイヤを装着して、自身のホームレースのスタートを切りました。他のドライバーのタイヤ選択は、ほぼ均等にソフトとミディアムに分かれました。
・1ストップが最速戦略と予測されたなか、15名の完走者中、ルクレールを含む4名が2ストップ戦略を実行しました。この結果には、セーフティカーの導入が大きく影響を及ぼしています。
■各コンパウンドのパフォーマンス
・ハード C2:第2スティント用のタイヤとして有効な選択肢と予測されていましたが、ミディアムとソフトが良く持ちこたえたこともあり、ハードを使用したドライバーは3名のみでした。
・ミディアム C3:ハミルトン優勝の鍵となりました。デグラデーションが小さかったことから、ミディアムでスタートしたドライバーは、オープニングスティントを最大限に伸ばすことが可能となり、その後のオプションが幅広くなりました。
・ソフト C4:ソフトでも長いスティントが見られました。なかでも、レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、長い第1スティントを走行し、9番グリッドのスタートから4位に入賞しました。ハミルトンが、レース終盤にソフトを使用してファステストラップを記録しました。
ピレリ カーレーシング責任者 マリオ・イゾラのコメント
「戦略が重要な要素となったレースでした。メルセデスとフェラーリが異なる戦略を展開し、シャルル・ルクレールがライバルたちを終盤に猛追するエキサイティングなフィニッシュが見られました」
「メルセデスが選択したミディアムタイヤは、柔軟性という観点で彼らにアドバンテージをもたらしましたが、それ以上の驚きは、予測より長いソフトタイヤのライフでした。高温下、ソフトでグレイニングが発生しにくくなり、より良いパフォーマンスが発揮できたと思います」
「2回のセーフティカー導入がレースの鍵を握りました。これによって、重要な局面で摩耗とデグラデーションが最小化され、タイムロスを最小限にするピットストップの機会がもたらされました」
「2018年よりも硬い組み合わせを持ち込んだことで、ドライバーたちは、各スティントにおいて、ペースのマネージよりも終始ハードにプッシュすることに集中できたとおもいます」
■コンパウンド毎のラップタイム上位:
・ハードタイヤ
ダニール・クビアト:1’40.583
アントニオ・ジョビナッツィ:1’41.248
・ミディアムタイヤ
マックス・フェルスタッペン:1’36.937
シャルル・ルクレール:1’37.321
カルロス・サインツ:1’38.020
・ソフトタイヤ
ルイス・ハミルトン:1’35.761
シャルル・ルクレール:1’36.193
バルテリ・ボッタス:1’36.361
■最長スティント:
・ハードC2:ダニール・クビアト:27Laps
ミディアムC3:ランド・ノリス:33Laps
ソフトC4:マックス・フェルスタッペン:28Laps