チーフエンジニアのジョナサン・エドルスはこう説明する。
「彼はトロロッソに戻ってきてから自信を深めているように感じられるし、マシンの特性が彼のドライビングスタイルに合っていることもその理由のひとつだろう。そして特に予選一発のパフォーマンスに優れていることもプラスに働いている。今シーズン我々はレースペースに苦しむことも少なくなかったが、特に今週末は予選よりもレースできちんとパフォーマンスを発揮できるように主眼を置いてセットアップを進めて来たんだ」
「特に我々は暑いコンディションで苦しんできたけど、今日は暑かったものの雲が出てくれたおかげでそれほど路面温度が上昇することはなかった。それも我々にとっては幸運だったんだ。そして今週末はピレリの中で最も硬くワーキングレンジが高いタイヤアロケーションだった。それもピタリとハマったんだ」
自身初の表彰台獲得に、ガスリーは獣のような雄叫びを上げて何度も拳を突き上げた。
それはただの歓喜ではなく、レッドブルで不合格の烙印を押されトロロッソへ降格させられた時点でもう永久に訪れることはないだろうと覚悟していた表彰台に立つことができたという歓喜であり、精神的にも技術的にも成長した自分の走りがそれを手繰り寄せ掴み取ったのだという大きな手応えでもあった。
「正直言って、シーズン途中にトロロッソに戻ることになってもうこんな夢が叶うとは思っていなかったよ。僕は自分にできることをただひたすらやるしかないと思ってチームとともにプッシュし続けてきた。チームのみんなにも『OK、僕らは自分たちにあるチャンスを最大限に生かさなきゃいけないよ』と言ってきたんだけど、まさに今日それが現実になったというわけだね。子供の頃からF1を夢見てきて今日こうして表彰台という夢が叶ったんだ。今まで生きてきた中で最良の日だよ」
この一歩はガスリーにとって限りなく大きな一歩となった。これから彼がどのような飛躍を見せるのか、楽しみだ。