2018年になってホンダは開発、レース部門ともにスタッフを大きく入れ替え、トロロッソと再出発した。フランツ・トスト代表はホンダが何を望んでいるかをすぐに理解し、マクラーレンよりはるかに少ない予算と設備だったにもかかわらず、ホンダに2015年以来最高の結果をもたらした。
その1年間でホンダが学んだことは、2019年からのレッドブルとの関係にも大いに活かされた。2019年に成し遂げたことを見る限り、ホンダはF1で勝つために必要なものをようやく取り戻しつつあるようだ。
2019年シーズンを振り返ってみれば、第8戦フランスGPまでは車体側の戦闘力不足も明らかに存在した。優勝争いに絡むようになってからも、フェルスタッペンは何度もミスを犯した。それ以前にピエール・ガスリーは表彰台にすら上がれず、後任のアレクサンダー・アルボンは大健闘したものの経験不足は否めなかった。それらがなければレッドブル・ホンダは、メルセデスに次ぐ選手権2位の座も十分に狙えたはずだ。
もちろんホンダにも改善の余地はある。メルセデスとフェラーリに比べると、特に信頼性の面で見劣りする。彼らが3基でシーズンを通したのに対し、ホンダは最初から年間4基で戦おうとしていた。とはいえ純粋なパワーユニット(PU)のパフォーマンスに関しては、トップを争うレベルに来たことは間違いない。
去年1年間をともに戦ったことで、レッドブルとホンダの関係はいっそう強固になった。2019年以上のパフォーマンスを発揮しなければというプレッシャーはあるが、それも今のホンダにはプラスになるはず。レッドブル・ホンダがメルセデスとフェラーリに互角以上の戦いを挑み、タイトルを獲得できる要素は揃っていると見るべきだろう。