1998年、ジョーダン・グランプリへ移籍したデイモン・ヒル。ジョーダンは中堅チームからトップチームへの階段を登るために必要なピースとしてヒルを抜擢した。それまでのジョーダンは、基本的に若手起用を念頭に組織作りを行ってきたチームだった。将来有望な若手を契約ごとトップチームへ売り渡すことで成長を続け、まさに中堅チームの模範的なスタイルを貫いてきたと言える。

 それはチームオーナーであるエディ・ジョーダンのポリシーだった。彼にとってはドライバーもクルマのパーツの一部でしかない。それはトップチームのように資金が潤沢にあるわけではない中堅チームのオーナーならではの考えだった。そんなエディの意思に反して、チームは元ワールドチャンピオンのヒルを招き入れた。勝ち方を知るヒルを加入させることで、チームをさらに一段上のステージへあげるためだった。

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