事故後、地元の警察がコースの現場検証を行った。その後、数年間に渡ってイタリアで行われた裁判によって、原因はステアリングコラムの破損によるものと結論づけられた。

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セナの事故の翌日、地元の警察がコースの現場検証を行った

 その結論に至った理由は、ステアリングに関するテレメトリーデータが異常な数値を示していたからだったと言われている。だが、ステアリングコラムがなぜ破損したのかは、いまだに解明されていない。

 そもそも、ステアリングに関するテレメトリーデータが異常な数値を示していたのは、ステアリングコラムが破損していたからではなく、マシンになんらかのトラブルを抱えて、セナがステアリングを通常ではあり得ないほど動かしていたのかもしれない。例えば、タイヤのトラブルなどによって激しいボトミングが起きたのかもしれない。

 そう考えるのは、あの年のイモラの路面には、いままで見たことがないようなバンプが路面にできていたからだった。これは筆者だけでなく、多くのメディアも気にしていたことだった。1994年の開幕前に、イモラはタンブレロをはじめコースの数カ所に、まるでレーキで引っ掻いたように路面に人工的な処理を行っていた。それによって段差が生じていた。

 それはオンボード映像にもしっかりと残っており、黒っぽい路面を通過するたびに、セナのマシンは後方から火花を散らしていた。タンブレロにも黒っぽい路面は3つ存在し、セナがコースアウトしたのは、その2つ目を通過した直後だった。

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レーススタート直後のトサ・コーナー。集団の一番後ろのマシンの後方に見える黒っぽい路面が1994年のイモラに存在していた段差のある路面だ

 セナのマシンはステアリングコラムをグランプリ期間中に修復しており、それがバンプによって必要以上に負荷がかかっていたのかもしれない。あるいはこのレースはスタート直後に多重事故が発生して、いきなりセーフティーカーが出動していた。セナの事故は再開後2周目に起きたので、通常よりもタイヤの内圧が落ちていたため、バンプでよりボトミングしていたのかもしれない。

 いずれにしても、FIAとイモラは事故の翌年に向けて、バリアンテ・バッサとタンブレロを含むコースレイアウトの変更と路面の改修を行った。

 マシンもサーキットも、そしてレギュレーションも作ったのは人間。あの週末は決して「呪われた週末」ではなく、自分たちが作ったF1を見直す良いきっかけを作ったという意味で、F1史にとって「忘れてはいけない週末」だったと言いたい。

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