2週連続となり、路面ができあがっていることもあり、70周年記念GPではどのチームもダウンフォースを減らし気味にしたものの、そのなかでもメルセデスがダウンフォースを削ってきたのは、コーナーリング時にタイヤにかける負荷を減らしたかったのではないかと考えられる。

 そのことは、70周年記念GPのレース後に、トト・ウォルフ代表が「一連の問題は、われわれのマシンが持つ巨大なダウンフォースが関係していたようだ」というコメントしていることからもわかる。

 ミディアムタイヤでブリスターに悩まされたメルセデスは、1回目のピットストップを早めに行い、ハードタイヤに交換した。すると再びリヤタイヤにブリスターができる。しかし、ハードタイヤではミディアムよりも長い距離を走りたい。そのため、リヤタイヤにブリスターが出ても、だましだまし走らなければならなかった。つまり、リヤを滑らせないように労った。すると今度は相対的にアンダーステア気味となり、フロントタイヤへの負担が増した。

 第2スティントでハミルトンが「今度は右フロントタイヤにスジができた」と言っていたのは、そのためだと思われる。右回りのシルバーストンでアンダーステアとなると、キャンバー角がついた状態で右フロントタイヤが内側に引っ張られるため、左フロントタイヤよりも加熱しやすいからだ。

 これらのことから総合的に考えると、メルセデスが70周年記念でブリスターに悩まされたのは、空力のセッティングを変えたことで、マシンのバランスが変化し、それに適正なセットアップを講じることができなかったからではないかと思われる。

 今週末の第6戦スペインGPのタイヤは、再びC1、C2、C3とイギリスGPと同じ最も硬いコンパウンドの組み合わせとなる。そのため、ブリスターは発生する可能性は低い。さらに、最低内圧はフロントが23.0psiでリヤが20.5psiに低くなったことも、前戦でブリスターに悩んだメルセデスにとっては好材料となる。

 しかし、忘れてはならないのは、ピレリのコンストラクションが変わっていないおらず、高い負荷で多くの周回を走行した場合、パンクする可能性が高いという問題が解決していないことだ。しかも、スペインGPの最低内圧はイギリスGPよりも低い。カタロニア・サーキットには時速200km以上で駆け抜ける高速の右コーナーが3つある。そこで左フロントタイヤのコンストラクションに大きなストレスがかかったとき、シルバーストンで発生したタイヤトラブルが起きることは、十分考えられる。

2020年F1第5戦70周年記念GP決勝でタイヤのブリスターに悩まされたルイス・ハミルトン
2020年F1第5戦70周年記念GP決勝でタイヤのブリスターに悩まされたルイス・ハミルトン

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