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F1 ニュース

投稿日: 2020.08.13 18:45
更新日: 2020.08.14 09:09

F1 Topic:タイヤのブリスターに悩まされたメルセデスと優勝したレッドブル・ホンダの違い

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F1 | F1 Topic:タイヤのブリスターに悩まされたメルセデスと優勝したレッドブル・ホンダの違い

 2020年F1第5戦70周年記念グランプリでは、メルセデス勢がブリスターに悩まされた。一方で優勝したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンのタイヤにはブリスターはまったく発生しなかった。なぜか? その理由を説明するうえで、触れなければならないのが、最低内圧の変更だ。

 前戦イギリスGPではメルセデス勢とカルロス・サインツJr.(マクラーレン)のタイヤがパンクに見舞われた。当初、このパンクはコース上のデブリ(破片)が原因だと考えられたが、ピレリは調査の結果、「主な理由は、2020年F1マシンのペースが著しく向上し(ポールポジションタイムは2019年より1.2秒速くなった)、過去最大の力がタイヤにかかったことと相まって、2セット目のタイヤを極めて長く使用するに至った結果、イギリスGPの最後数周は特に厳しいものになった」と発表した。

 つまり、パンクの原因は長時間、タイヤに巨大な負荷がかかったために、コンストラクション(構造)である内部構造体が破壊されたわけである。しかし、2週連続開催となる70周年記念グランプリまでに新しいコンストラクションに変更することは不可能であるため、ピレリは最低内圧を高くすることで、パンクを防止する対策を講じた。

 イギリスGPでは、フロントタイヤが25.0psi(パウンド平方インチ)、リヤタイヤは21.0psiだったが、70周年記念グランプリではフロントが27.0psi、リヤは22.0psiに変更。フロントは2psi、リヤが1psi上がった。

 最低内圧が上がると、タイヤは膨らみ、路面との接地面が減るため、トレッド面が加熱しやすい。そして、ブリスターが発生した。

 ブリスターとは、コンパウンド内の温度が異常に上がって火ぶくれができ、高速で回転するタイヤの遠心力によって火ぶくれ部分の表面のゴムが飛び散り、タイヤの表面にくぼみができる現象だ。

 レース中、無線でルイス・ハミルトン(メルセデス)がブリスターに悩まされることなく快走していたフェルスタッペンに対して「あいつら、内圧低くしているんじゃないか!?」と疑問を述べていたのは、そのためだ。レース後、そのことを尋ねられたハミルトンはこう釈明していた。

「ピレリの内圧は、レース前の最低内圧で、それはレース中に上昇する。僕たちの方がレッドブル・ホンダよりも上昇したためにブリスターが発生した。彼らがインチキしていたと言っているのではない。この内圧はみんな同じだから」

 なぜ、メルセデスに発生し、レッドブル・ホンダにはできなかったのか。

 その謎を解くを鍵は、メルセデスがブリスターに悩まされたときの症状だ。

 レース序盤にメルセデス勢がブリスターに悩まされたときのタイヤは、主にリヤタイヤだった。これはリヤが滑って、表面が異常加熱していたことを意味する。つまり、このときメルセデスはオーバーステア傾向にあったと見ていい。その理由として考えられるのは、メルセデスがダウンフォースレベルをイギリスGPよりも減らした仕様で70周年記念GPを戦っていたことが考えられる。

 ハミルトンとフェルスタッペンの予選の最高速をイギリスGPと70周年記念GPで比較すると、以下のようになる。

・ハミルトン(13.9km/h上昇)
319.8km/h(イギリスGP)→333.7km/h(70周年記念GP)

・フェルスタッペン(12.7km/h上昇)
316.9km/h(イギリスGP)→329.6km/h(70周年記念GP)

■ハードタイヤ交換後もブリスターに悩まされたメルセデス


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