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F1 ニュース

投稿日: 2021.01.13 14:21
更新日: 2021.01.14 09:32

正解は1年後──角田裕毅が2021年ルーキー・オブ・ザ・イヤーの有力候補【F1ジャーナリスト対談/前編】

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F1 | 正解は1年後──角田裕毅が2021年ルーキー・オブ・ザ・イヤーの有力候補【F1ジャーナリスト対談/前編】

尾張:さて、2021年は3人のルーキーがF1にデビューします。角田裕毅、ミック・シューマッハー、ニキータ・マゼピン——それぞれ3人の予選&決勝の最高順位はどれくらいになりそうか予想してもらえますか?

バスコンセロス:アルファタウリが、ほとんどのサーキットで2台ともQ3に進出するポテンシャルがあることは、2020年の成績を見れば分かる。私は、角田は2020年の(ダニール)クビアトよりも(ピエール)ガスリーに近いレベルにあるドライバーだと思っているので、頻繁に予選でガスリーを打ち負かすんじゃないかと期待しているよ。

バスコンセロス:とはいっても、レッドブル・ホンダに(セルジオ)ペレスが加入し、メルセデスとレッドブル・ホンダのトップ2チームの後方にはフェラーリ、ルノー、マクラーレンもいるため、角田の予選ポジションはトップ5の後方になると思う。ただし、レースではアルファタウリは異なる戦略を採る傾向があるため、展開によってはトップ5フィニッシュすることは十分可能だと思っている。

バスコンセロス:一方、ハースのドライバーにとって、現実的な目標はQ1を突破すること。しかし、これは簡単なことではないだろう。おそらく、彼らは週末の多くを(ニコラス)ラティフィと最後尾争いを展開することになると考えられるからだ。したがって、ポイントを獲得するには奇跡が必要だと思っている。ということで、私は3人の最高順位をこう予想する。

角田:予選 7位/決勝5位
シューマッハー:予選15位/決勝12位
マゼピン:予選15位/決勝12位

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2020年F1アブダビテスト 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

ブルナー:ドライバーの成績を予想するためには、まず彼らが乗るマシンの競争力を予測しなければならないのだが、残念ながら現時点では私には分からないので、これについて回答するのは非常に難しい。 しかし、2021年のマシンは2020年から変更が少ないため、アルファタウリがハースよりも優位に立つだろうから、角田のほうがチャンスは多いように思う。また角田はクビアトよりも良い仕事をすると思うので、ひょっとしたら何度かサプライズを起こしてくれるかもしれない。

ブルナー:ハースのふたりに関しては、シューマッハーのほうが成熟しているので、マゼピンをリードすると思っている。さらにシューマッハーは一発の速さよりも、レースで安定した走りに定評あるのでレースで何度か入賞すると信じている。私の予想はこうだ。

角田:予選8番手/決勝6位
シューマッハー:予選14番手/決勝8位
マゼピン:予選15番手/決勝9位

クルタ:私は次のように予想しておくよ。

角田:予選12番手/決勝8位
シューマッハー:予選14番手/決勝10位
マゼピン:予選17番手/決勝12位

ミック・シューマッハー(ハース)
2020年F1アブダビテスト ミック・シューマッハー&小松礼雄エンジニアリングディレクター(ハース)

尾張:最終的にルーキー・オブ・ザ・イヤーは誰が獲ると思いますか?

クルタ:マシンの戦闘力を考えると、角田が一歩も二歩もハースのふたりより前を走ることになるだろう。シューマッハーとマゼピンはチームメイト同士で戦うか、あるいはラティフィとしか戦うことができないと思う。たぶん、アルファロメオとすら戦うことはできないだろうね。

2021年にハースからF1にデビューするニキータ・マゼピン
2021年にハースからF1にデビューするニキータ・マゼピン

バスコンセロス:さっきも言ったように、角田だ。それは彼がルーキーのなかで唯一、競争力のあるマシンを持っているドライバーであるというのが理由だからではなく、角田はどのカテゴリーでもすぐに速く走る数少ないドライバーだからだ。 シューマッハーはF2の1年目(2019年)がやや失望する成績だったし、マゼピンは2020年がF2の1年目だったけれど、同時にドライバーとしての限界も露呈させてしまったからね。

ブルナー:開幕前は知名度という点でシューマッハーのほうがマスコミの注目を集めるだろうが、レースが始まれば、角田の攻撃的なドライビングスタイルに注目することになると思うな。

後編へ続く。
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ルイス・バスコンセロス(Luis Vasconcelos)

F1取材歷500戦を超える重鎮ジャーナリストで、日本のレースにも精通しているポルトガル人。フォーミュラプレスの主宰も務めている。オートスポーツのほかにF1速報や東京中日スポーツにも寄稿している。

マティアス・ブルナー(Mathias Brunner)

 モータースポーツサイト『Speedweek.com』のリポーターとして、主にF1を取材。510戦を現場取材してきた。スイスのチューリッヒ郊外在住のベテランジャーナリスト。500冊以上のレース関係書籍のコレクションが自慢。好きなグランプリは、3つのM(モナコ、モントリオール、モンツァ)。

ヘイキ・クルタ(Heikki Kulta)

F1ジャーナリストのなかでも数少ないフィンランド人。ミカ・ハッキネンやキミ・ライコネン、近年ではバルテリ・ボッタスなどフィンランド人ドライバーをメインに取材している。なかでも『番記者』を務めるほど、ライコネンとは親交が深い。

尾張正博(Masahiro Owari)

F1速報誌「GPX」の編集長を務めたのち、2002年からフリーランスでF1全戦取材してきた日本人ジャーナリスト。F1速報やオートスポーツ、東京中日新聞などにも寄稿している。

※注釈:この対談は年末年始に個別に取材した内容を、ジャーナリストの了解を得て対談形式にしたものです。


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