2021年F1第3戦ポルトガルGPと第4戦スペインGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察、印象に残った変更等について解説する。第1回では、メルセデスの新デフレクターとレッドブルのブレーキダクトについて取り上げる。
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開幕戦バーレーンGPでのメルセデスは、レッドブル・ホンダにコンマ4秒もの遅れを取っていた。しかしその後、徐々にその差を縮め、第2戦以降の3戦ではポールポジションを独占している。いったい、何が起きたのだろう?
先に結論から言ってしまえば、アストンマーティンのような大規模な改良を施すことなく、各サーキットの特性に合わせたセッティング変更が着実な進化に結びついているのだ。
とはいえメルセデスが、W12の車体アップデートを全く行っていないと思ったら大間違いである。非常に小規模な改良を、毎GPのように加えているのである。たとえばスペインでは、イモラで投入されたフロアの新形状を再度見直している。
リヤタイヤの前にあるデフレクターの一つが、イモラではより小さく、形状も湾曲した三角形に変更された。それがスペインでは、リヤタイヤにほとんど接するほど近くまで移動していた。前方からの気流を、より正確にリヤタイヤ内側に導くために、この形状でこの位置が最適と判断されたのだろう。
一方レッドブル・ホンダは、より精力的にRB16Bのアップデートを続けている。たとえばフロントのブレーキダクトだが、1週間前のポルトガルで新仕様を投入したばかりだったにもかかわらず、スペインではさらに形状を変更した(黄色矢印参照)。
ダクト上部の3枚の仕切り板のうちの1枚を、縦から横に付け替えたのだ。それだけ?と思うかもしれないが、空力命の今のF1では、前方からの空気の流れをいかにコントロールするかが勝敗の鍵を握る。その中でフロントブレーキダクトの役割は、今までになく重要視されているのである。
(その2に続く)