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F1 ニュース

投稿日: 2021.06.03 14:57
更新日: 2021.06.03 15:00

【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】モナコ編:初挑戦で見せた才能。プラクティスのミスさえなければ……

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F1 | 【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】モナコ編:初挑戦で見せた才能。プラクティスのミスさえなければ……

 私がフランツ・トストなら、裕毅の肩を抱いて港を散歩しながら、「自分らしく走ればいいよ」「予選を楽しんでおいで」と優しく言っただろう。しかしオーストリア人のボスが仕切るこの育成スクールにおいては、そのような環境は用意されない。角田はエンジニアやフィジオの支えを得ながらも、自分で乗り切るしかなかったのではないか。

2021年F1第3戦ポルトガルGP 角田裕毅とフランツ・トスト代表(アルファタウリ・ホンダ)
角田裕毅とフランツ・トスト代表(アルファタウリ・ホンダ)

 角田は予選でフェルナンド・アロンソに勝ち、セバスチャン・ベッテルとは0.018秒差だった。Q1落ちとはいっても、ほんのわずかな差だったのだ。もしも木曜日にしっかり周回していれば、Q2に進んで、予選トップ10に近づけたのではないだろうか。そう思うと、あのミスのことは悔やんでも悔やみきれない。

 日曜の決勝には、これといった事件はなかった。1周目にポジションを落としてしまったこともあって、良い結果はつかめず。アルピーヌとウイリアムズのリヤサスペンションとギヤボックスの後ろを走り続けるレースだった。

 だが、冷静さを失わず、遅い車を追い越すために愚かな行動に出るということもなく、レース中のファステストラップではルイス・ハミルトンに続く2位だった。そこは褒められてしかるべきだろう。もちろん大喜びするようなリザルトではないが、77周をしっかり走り切ったことは、正しい方向への小さな一歩だ。その経験を次のアゼルバイジャンGPで活用して、さらに進歩しなければならない。裕毅、次は絶対にウォールにヒットしないでくれ。シーズンは長い。こつこつと小さなステップを積み重ねていくしかないんだ。君なら絶対にやれると、私は信じている。

2021年F1第5戦モナコGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第5戦モナコGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

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筆者エディ・エディントンについて

 エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。

 ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。

 しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。

 ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちのある握手はバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。


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