一方、ノリスの担当エンジニア、ジョゼフの無線は、ちょっと毛色の違うものだった。

ジョゼフ:ランド、ヒロシが言うには、右フロントタイヤ内側にブリスターが見えるけど、深刻じゃないとのことだ

 今井弘チーフエンジニアの名前が出るのは、確認できるだけでも今季3回目だ。なにかタイヤ関連の問題が起きたとき、ジョゼフは「ヒロシはこう言ってた」とノリスに伝え、安心させている。

 終盤16周目、フェルスタッペンの優位はもはや動かなかった。ランビアーゼから、タイヤをいたわるように指示が出た。

ランビアーゼ:ハミルトンとの差は3秒になった。右側の縁石にはできるだけ乗るな
フェルスタッペン:わかった
ランビアーゼ:コーナー出口の縁石は、左側も乗らないほうがいいな

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第10戦イギリスGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

 いっぽう、6周目の超高速チャペルコーナーでスピンして大きく順位を落としていたセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)はタイヤにダメージを受けていて、まったくペースが上がらなかった。

ヒュー・バード:チェコ、スロットルを戻せ。リタイアしよう

 そして全17周のスプリント予選が終了した。

 9番グリッドスタートだったカルロス・サインツ(フェラーリ)は、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)との接触で18番手まで後退。素晴らしい追い上げを見せたが、本人は不満そうだ。

サインツ:ラッセルは僕の前でフィニッシュしたんだよね。僕のレースを台無しにしたのに
リカルド・アダミ:今、審議中だ

 結局ラッセルは、3グリッド降格ペナルティを受けた。しかしサインツにしてみれば、納得しがたいところだろう。さらにスタート自体で出遅れたことにも、サインツは不満を露わにした。

アダミ:P11だ。よく這い上がってきた
サインツ:ありがとう。でもスタートには満足してない。あとで話し合おう

 対象的にアロンソ陣営は、大はしゃぎだった。

カレル・ルース:素晴らしい! P7だ。1周目がとにかく、ものすごかったね。
アロンソ:ショーを存分に堪能してくれたんじゃないかな。戦略も素晴らしかった。ところでこれって、Q4っていえばいいのかな?
ルース:ハハハ。それ、いいかも

 自分たちが戦ったばかりのこのセッションはどう見てもレースなのに、スプリント予選と呼ばれることへの皮肉ということか。いずれにしてもアロンソのベテランの巧さが光ったスプリントレース、いや、スプリント予選だった。

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