同じときに、メルセデスF1のチーム代表であるトト・ウォルフはこう明言した。

「仮に我々が誰かに新たなチャンスを与えるような状況が生じたら、バルテリとの関係という理由にとどまらず、彼に素晴らしい将来を歩んでもらう責任が私にはある。彼はF1史上最高のドライバーのチームメイトであり続けた。その立場は常に輝かしいものではないが、やはり彼は素晴らしい人間だ」

 ウォルフはボッタスをウイリアムズに移籍させたいのだろう。関係の近いところに置いておき、ハミルトンの引退後、2024年からはタイトルに挑むラッセルのサポート役として戻ってほしいと考えているはずだ。

 しかし、ボッタスにはメルセデスでずっと軽んじられてきたと感じるに足る理由もあり、いったん離れれば永久に関係を断ちたいと考えてもおかしくない。ボッタスがメルセデスから2年契約を提示されたことは過去に1度もなかった。彼には1年契約という不安定な状況を5年続けて受け入れざるを得なかったという失望感が残っている。2013年から2016年までを過ごしたウイリアムズは、彼にとって魅力的な選択肢ではない。2年たってからメルセデスに戻り、ラッセルの補佐役を務めるつもりはないからだ。

ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)
2021年F1第10戦イギリスGP ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)

 アルファロメオに移籍したら、ボッタスはバスールとふたたび組むことになる。彼は、2011年にARTグランプリから参戦してGP3チャンピオンをともに勝ち取ったバスールをよく知っており、また彼のことを大変尊敬している。実際、2017年にはボッタスがバスールに請われてルノーに加入するという話もあった。しかし、このときはバスールから、シリル・アビテブールと適切に仕事ができないので年末にチームを離れるという固い意志を告げられたことから、ボッタスは移籍のオファーを断っている。

 アルファロメオがザウバーとの長期契約にコミットしたことによって、チームの予算は著しく増大するだろう。バスールにとっては、チームに必要な経験豊かで競争力のある人材を雇うチャンスができたことになる。もしもボッタスが今シーズンかぎりでラッセルにシートを明け渡さなければいけないことになった場合、彼にとっては今後3年間で前進する可能性の高いアルファロメオが魅力ある選択肢となるに違いない。

フレデリック・バスール(アルファロメオ チーム代表)
2021年F1第10戦イギリスGP フレデリック・バスール(アルファロメオ チーム代表)

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