レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

F1 ニュース

投稿日: 2021.10.07 13:00
更新日: 2021.10.07 13:13

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第15回】ラインアップは来季も継続。ニキータ&ミックの課題が明確になったロシアGP

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


F1 | 【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第15回】ラインアップは来季も継続。ニキータ&ミックの課題が明確になったロシアGP

 ニキータについては、これも以前から書いていることですが、彼にはクルマに何が起きているのかを感じ取る感覚はありますし、速く走る身体的能力もあります。でも問題なのは、その感覚があっても自力で限界を掴みきれないことです。それがロシアGPの予選ではミックとの大きなタイム差となって現れてしまいました。

 予選Q1の終盤、ニキータは残り9秒の時点で最後のアタックに入りました。セッションが進むにつれてコンディションは改善していたので、残り23秒でアタックに入ったミックよりもいい状況です。それにミックのタイヤは4周目、ニキータは2周目だったので、タイヤに関してもおいしいところを使えているはずだったのですが、終わってみればミックとは約4秒差でした。

 データを見てみると、たとえば高速のターン3でのふたりの最高速は大きくかけ離れていました。ミックはほぼ全開で走れていたのに対してニキータは大きく後れをとっています。またターン4以降はほぼどのコーナーでも最低車速がミックを下回っていました。つまり刻々と変わる路面の変化についていけず、限界がわかっていないのです。インターミディエイトタイヤに熱が入ってタイヤ自体のグリップも変わっているのですが、そのあたりもやはり掴み切れていないんですね。

ニキータ・マゼピン(ハース)
2021年F1第15戦ロシアGP ニキータ・マゼピン(ハース)

 もうひとつの例はFP2です。この週末は事前に雨の予報が出ていたので、万が一土曜、あるいは日曜の午前に予選をできない場合はFP2の結果がそのままグリッドに反映される可能性がありました。その場合に備えて僕たちはFP2でソフトタイヤを2セット使って予選と同じアタックを行いました。1セット目での走行を終えた時点でミックは1分36秒2、ニキータは1分37秒1でした。ニキータは、ミックのタイムを聞くまでは自分がよく走れていると思っていたようです。

 しかし走行を終えてミックのタイムを見て、そこで初めて『あと1秒速く走れるんだ』ということを理解するわけです。彼には身体的な能力はあるので、最終的には1分36秒099というミックと同等のタイムを出すことはできましたが、少なくともこれくらいのタイムをチームメイトの走りを見なくても自分で出せるようにならないといけないですね。今後チームとしてはシミュレーターも含めてニキータにとにかく場数を踏ませて改善を図りたいと思います。

 ちなみにニキータは、ロシアでレースをできたことがやはりとても嬉しかったみたいです。天気が悪くて申し訳ない、なんてチームのいろいろなメンバーに謝っていましたし。彼のせいじゃないと思うんですけどね(笑)。母国グランプリを開催できて、そこで自分が走れるという喜びが溢れ出ていて、なんか微笑ましかったです。

ニキータ・マゼピン(ハース)&小松礼雄エンジニアリングディレクター
2021年F1第15戦ロシアGP ニキータ・マゼピン(ハース)&小松礼雄エンジニアリングディレクター

■レース終盤の戦局を変えた雨。予想外の状況を迎えるも、ドライバーの好判断が奏功


関連のニュース

F1 関連ドライバー

F1 関連チーム

F1 News Ranking

本日のレースクイーン

SUBARU BRZ GT GALS BREEZE
一ノ瀬のこ(いちのせのこ)

F1 Photo Ranking

フォトランキング