Nick Richards

 autosport web/F1速報公式サイトで長年連載してきた「ホンダF1甘口コラム」「ホンダF1辛口コラム」の「辛口」パートの執筆者ニック・リチャーズ氏が記す、F1の政治問題をテーマにするコラム。独自のシニカルな視点で時事に切り込む。

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 ジェームズ・アリソンのインタビューを読んでいた私が、「うまいことを言うなぁ!」と声を出して笑うと、そばにいた妻と辛抱強い家政婦は、賢明にも聞かないふりをしていた。私が話しているとき、大声を出していたとしても、必ずしも誰かの返事を必要としているわけではないと、彼女たちはとっくに知っている。

 私は狂喜と優しさを併せ持つ天才に弱い。アリソンはまさにそういう人物だ。彼は、既成概念にとらわれず、他の人間には固い壁しか見えないような場所にも解決策を見出せる、数少ないF1エンジニアのひとりだ。それでいて、ひとりの人間としても非常に感じがよくて、不機嫌なオタクなどではなく、常に素晴らしい言葉を繰り出す表現力を持っている。

 その時に私が読んでいたアリソンのインタビューに何が書いてあったかという話に戻ろう。メルセデスがW14の速さを向上させるために必要な変更について説明するなかで、アリソンは、ゼロからやり直すつもりはない、と語った。ゼロから始めることは、「ほんの少しの風呂の水と一緒に、大事な赤ん坊を捨ててしまうようなことになるから」と彼は言った。もちろんこのイディオムによって彼が言いたかったのは、「W14のわずかな欠点を取り除くために、マシンの優れたコンセプトを無駄にするべきではない」ということだ。

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