当初、ウイリアムズはストロールの会見を3月1日のテスト終了直後の午後6時に行う予定だったが、事故ために遅れに遅れた。トラブルがあった日の会見が遅れることは珍しくない。テスト終了間際に止まったフェラーリも、セバスチャン・ベッテルの会見は5分ほど遅れて始まった。

 ところが、ストロールは予定時間から1時間経ってもメディアの前に姿を現わすことはなかった。しかも、チームの広報がストロールがいると思われるエンジニアリングルームがあるトランスポーターと、メディアが待っているチームのモーターホームの間を右往左往。

会見の予定時刻から大幅に遅れて姿を見せたストロール
会見の予定時刻から大幅に遅れて姿を見せたストロール

 まるでチームが腫れ物に触るかのような対応を露呈させてしまったのである。それはストロールよりも先に会見が行われたスメドレーのコメントからもうかがえる。普段はとてもフランクなスメドレーが、この日は言葉を選びながら、慎重に語っていた。

「ランスが犯したミスとは言い切れない。シフトアップしている過程だったし、タイヤが冷えていたのかもしれない。フェリペ(マッサ)だって、同じようなミスを1日に1、2回はすることもある。ドライバーを非難する前に、マシンのバランスをもう一度見直す作業をわれわれは行うべきだし、冷えた状況でもタイヤが機能する方法を見出すことのほうが重要だ」

 さらに衝撃的だったのは、予定よりも約2時間遅れでようやく姿を見せたストロールが発したコメントだった。

 ストロールは「クルマに問題があった。僕は被害者のようなものだ。原因を解明している途中だから、詳細を伝えることはできない。マシンに何か問題が起き、クラッシュした。いま言えることは、それだけだ」とメディアに語ったのだ。

 この日、カタロニア・サーキットにはストロールの父親のローレンス・ストロールの姿があった。ファッションブランドのトミーヒルフィガー、マイケルコースの大株主でもあるローレンス・ストロールの総資産は、24億ドル(約2477億円)とも言われている。

ランス・ストロールの父親ローレンス。世界長者番付722位の大富豪だ
ランス・ストロールの父親ローレンス。世界長者番付722位の大富豪だ

 この日のクラッシュが、たとえストロールのミスだったとしても、チームはそのことを公に発表することはできなかったことは、容易に想像できる。

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