先述のとおり、山越は前戦のモナコ・モナコでのスプリントレースでトップチェッカーを受けるも技術規則違反により失格となった。失格を伝える審査委員会の裁定発表(編注:2026年6月6日発行/ドキュメント番号63)にはプッシュロッドアームが左右逆に装着されていたと記載されていたが、厳密には左用のアームが左右両方に装着されていたという。
モンテカルロ戦の後は「正直、かなりモヤモヤは残っていました」という山越。ただ、今回のバルセロナ入りした際に、ひとつのサプライズが待っていた。山越の失格により繰り上げでモナコのスプリントレース優勝を飾ったジェラード・シエが所属するダムス・ルーカスオイルが「これはドライバーにあげてくれ」と、優勝チームトロフィーを山越の父に手渡してきたという。
モナコでのシエの勝利は、2025年から参戦を開始したダムス・ルーカスオイルにとってFIA F3初優勝となる記念すべき勝利だった。その優勝チームトロフィーが、山越に贈られたのだった。
「僕の一番のモヤモヤはトロフィーが手元からなくなったことでした。ですが、ダムス・ルーカスオイルから優勝チームトロフィーを頂くことになり、それまでのモヤモヤがなくなって、今週のバルセロナにフルフォーカスすることができました。おそらく、それが予選3番手という結果に繋がったと思います」
ただ、それ以上にオーバーテイクの機会が多く、タイヤマネジメントも肝になってくるバルセロナで表彰台を獲得できたことは、彼にとっては大きな収穫のようだ。
「今日のトロフィーは本当に嬉しいです。 モナコ(スプリントでリバースポールからのトップチェッカー)と違って“自分の力で獲った”と断言できる戦いでした。ここはオーバーテイクができてチャンスがたくさんあるサーキット。 そこでチーム内でも一番速いペースを見つけることができました。そういうところも含めて今日はすごい良かったと思います。 あと、やはり日本人で一番(最上位)っていうのが気持ちがいいですね!」
■トップ10圏内からスタートもチャンス生かせず、加藤大翔「受け入れ難いです」
一方、開幕メルボルンで3位表彰台を飾った加藤大翔(ARTグランプリ/ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)は、8番グリッドスタートを予定していたスプリントレースのフォーメーションラップでギアが1速に入らないトラブルで最後尾に後退、懸命に追い上げるも15位。そのトラブル対策としてクラッチを交換して5番グリッドからフィーチャーレースに臨んだが、スタートでの出遅れが大きく響き9位に終わった。
「まさか12位まで下がるとは思わなかったです。あそこまで落ちたら……何もできないです」と、フィーチャーレース終了直後の加藤。
「クルマのポテンシャルはトップ5で戦えるのに、9位くらいのところでしか走れていないのが、フランストレーションです。今は(現状を)受け入れ難いです」と、かなり落胆した様子だった。
ARTグランプリで加藤のチームメイト、りー海夏澄はフリー走行で7番手と好調見せるも、予選はトラフィックの影響で15番手。決勝では好ペースを刻むも中団グループを抜け出せず、スプリントレースは14位、フィーチャーレースは13位だった。
「フィーチャーレースではDRSトレインで半分くらいは何もできなかったのですが、レースペースは上位勢と比べてもすごく良く、自分のベストラップもファステストラップと比べて0.2秒しか変わらなかったので、そこは悪くなかったのかなと思います」と、海夏澄。
「ただ、レースペースが良いのに中団グループからのスタートで前に行けないというのは悔しいですね。メルボルンやモンテカルロと比べるとレースペースはかなり良い感じになっているので、あとは予選できちんとタイムを出せるようにしたいです」と振り返り、今後に向けての課題を明確にしていた。
そして中村仁(ハイテック/TGRドライバー・チャレンジ・プログラム)は、週末を通してペース不足に悩まされ、スプリントレースは18位、フィーチャーレースは22位となった。
「レースは土曜日から日曜日に比べてだいぶ良くなったので、そこでの成長は感じました。ただ、ショートランのペースがまったく足りないので、チームとさらに取り組まないといけないなと思っています」と中村。
次戦のオーストリア・レッドブルリンクは、先日FIA F3のイン・シーズンテストが行われたコース。それだけに中村は「少なくとも、バルセロナよりはマシだと思うので、なんとか出来ればと思っています」と語っていた。


