ただ、走り出しから思わぬトラブルが起きる。なぜかエンジンにミスファイアの症状が起きてしまい、パワーが出ない。経験豊富な荒は、なんとか症状をだましながら走る術をトライするものの、これでは本来のポルシェ911 GT3 Rのポテンシャルは発揮できない。プライベートテスト1回目、そして2回目ともにピットアウトしては症状の確認を行い、またピットインして対策する……といった具合に、なかなか走行マイレージを稼ぐことができずにいた。タイムは当然伸びない。ヨーロッパの強豪たちが1分58秒台というラップタイムに突入するなか、D’station Porscheはプライベートテスト1回目で2分02秒528、2回目で2分02秒651というベストタイムに留まってしまった。

 サポートに当たったポルシェのエンジニアとともに、チームの金井淳一エンジニア、高根裕一郎エンジニアはなんとか症状解決に向けて打開を目指したが、明けた1月11日のフリープラクティスでも、思ったようにトラブルは解消しなかった。ただ、レースウイークはすでに進んでいる。タイムは出ないが、荒がトラブル解消を進め、GTカーのみが走るフリープラクティス2では星野と近藤がコース習熟と、速さが異なる他車との間合いを学習していき、2分02秒998というベストタイムで24番手。荒と藤井が加わったフリープラクティス3では2分03秒725というベストで21番手となった。

 このレースはインターバルも短く、慌ただしく迎えた現地時間午後5時からの予選では、荒がタイムアタックを担当した。ただ、やはりミスファイアの症状は残っている。さらにトラブルへの対応でセットアップも満足に進められておらず、エースの荒をもってしても2分00秒827というベストタイムがやっと。ポールポジションタイムは1分56秒716で、「他のクルマとタイム差がありすぎますね。(今回使う)ハンコックタイヤへの合わせ込みもできていませんし、悔しい結果です」と荒は厳しい表情を浮かべた。レベルアップが主眼とは言え、これでは納得がいくはずもない。ずっと走行を見守っていた佐々木主浩総監督も、「エンジンさえなんとかなれば……」と苦い表情を浮かべた。

 しかし、予選後に行われたナイトプラクティスを前に、ついにチームを悩ませてきたミスファイアの原因が解決した。ポルシェの見解としては、ラムダセンサーのトラブル。そして電装系もトラブルに関わっており、これを解決したチームは、ナイトプラクティスを使って新たなセットアップをトライ。また、この走行でドライバーたちは夜間への対応を進めた。

 ただ一難去ってまた一難。走行を終えたドライバーたちは、「ライトが暗すぎる」と訴えた。日没が早く、12時間ほどの夜間走行があるドバイで、これはタイムが出ないだけでなく、致命的なアクシデントに繋がりかねない。チームはドライバーたちとライトの光軸調整を行い、決勝レースに備えた。

ピットインするD’station Porsche

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