長い夜間走行を経て、ドバイ・オートドロームは夜明けを迎えた。パドックにはクラッシュで走れなくなってしまったマシンが少しずつ増え、ピットでは修復作業を行うチームが増える。しかし、D’station Racingは明け方にちょっとしたアクシデントがあったほかは、まったくのノートラブルだ。メカニックたちも、きっちりと、そして正確にルーティンのピットストップをこなしていく。
朝日が昇り、今度はふたたび星野がD’station Porscheのコクピットに戻る。耐久レースの定説は「日没と日の出は何かが起きる」のだが、星野はていねいにD’station Porscheを走らせ続けた。陽光がドバイの高層ビル群を照らすなか、星野は重要なスティントで自らの大役を見事完遂してみせたのだ。
その後もD’station Porscheは、着実にラップを刻む。終盤、勝負を焦ったかA6-PROクラスの上位でもアクシデントが起き、D’station Porscheの順位はさらに上がっていった。刻一刻と近づくチェッカー。なんとそれぞれが合計8時間におよぶロングドライブを果たした近藤、そして藤井もきっちりとバトンを繋ぎ、アンカーを務める星野がピットアウトしていく。
佐々木総監督や米山チーム代表、そしてチームスタッフが笑顔で迎えるなか、ついに1月13日午後2時、長いドバイ24時間レースはチェッカーのときを迎えた。「何度受けても、いいものですね」と星野はD’station Porscheとともにチェッカーフラッグを受け、チームスタッフと喜び合った。結果はA6-PROクラス6位、そして総合でも13位。もちろん表彰台に届けば言うまでもないが、初挑戦としては望外の結果だろう。上位は世界的にその名を響かせる強豪たちで、それに次ぐ順位なのだから。
何より、レース中にほとんどトラブルフリーで駆け抜けた結果は、チーム力の高さとドライバー4人のパーフェクトな仕事ぶりを示している。強豪たちに挑むため、あとひと握りの速さを手に入れよう……。来たる2018年の国内モータースポーツシーズンに向け、D’station Racingは激戦を戦った心地良い疲労と満足感、そしてさらなる向上に向けた意欲を手に入れ、ドバイを後にした。