■TGRのニュルブルクリンク挑戦の意義

 そんな彼らの挑戦だが、LCは「だいぶ良くなってきた」という。クラスはSP-PROというクラスとなるが、当然クラス優勝を視野には入れるものの、やはり目標は完走だろう。「LCにとって1年目ですし、しっかりとデータを取って次に繋げなければならない。僕たちがクルマを止めてしまったら、それも止めてしまう。そのためにも、しっかり完走しなければ」と松井は言う。

 開発テストなら、ニュルブルクリンクを1日借り切ってやればいいのではないか……? そう思う人も多いだろう。しかし、こうしてプロドライバーが乗り込み、何が起きるか分からない24時間レースに挑み、ふだんレースで過酷な経験をしていないメカニックや関係するサプライヤー、そしてドライバーが、得がたい経験を得て、クルマもとことんいじめ抜く。これがTGRのニュルブルクリンク挑戦の意義だ。そして、豊田社長が自らプロジェクトを始めた意義でもあるのだろう。

 筆者個人としては、難攻不落のニュルブルクリンクで総合優勝を果たしてこそ、世界一の自動車メーカーだろう……と以前は考える頃もあったのだが、12年間続くGAZOO RACINGの挑戦は、それとはまったく意義が異なることを改めて理解させてもらったし、ニュルブルクリンクはそうしたさまざまなアプローチをすべて迎え入れる偉大なコースだったのを思い出した。

 順位を競うだけのモータースポーツとは、また違った戦いが今年も近づいている。実戦まではあと4ヶ月近く。ぜひテレビやネットで観戦する人たちは、近い将来の「もっといいクルマ」に繋がる戦いを見届けて欲しい。

富士スピードウェイでテストを行うニュル24時間用レクサスLC
レクサスLCについてメモをとる土屋武士

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