「本当にクレイジーな予選で、ものすごくトリッキーなセッションだったわ」と振り返った26歳のコチュリンスキー。
「私たちは始め、フロントにスリック(タイヤ)、リヤにレイン(タイヤ)の組み合わせも試したの。これはセアトのレーシング部門に伝わる伝説で、トム・コロネルが日本で試して勝利を飾ったチョイスなのよ。でもこのコンディションではフロントにまったくグリップせず、ピットに戻った時に『どうしたい』と聞かれたから、迷ったけど『前後レインで』と伝えて最後のアタックに賭けた」
「チームはアウトラップから『プッシュだ』って言うんだけど、路面はまだ滑りやすい状況で、しかもアタックラップでミスをしてしまったの。だからフィニッシュラインを通過したときには『本当にゴメン、ミスしちゃった』と答えたら、その返事は『君がP1(ポールポジション)』だった。とても驚いたわよ」
迎えたレース1はフロントロウにアールベルグ、セカンドロウにトビアス・ブリンク(アウディRS3 LMS)、そして僚友ダールグレンの強豪たちが後方に控えるなか、スタート前に雪から雨へと変わるコンディションをものともせず、レインタイヤを履いたコチュリンスキーが盤石のダッシュを決めてみせる。
オープニングではホンダ・レーシング・スウェーデンby MA:GPのマティアス・アンダーソン(FK2ホンダ・シビック・タイプR)が7番グリッドから2番手にジャンプアップしたものの、これをダールグレンがすぐに撃退。7周目にはブリンクのアウディも仕留めて2番手に上がると、その後は後続を抑える役目を担うことになり、そのままPWRレーシングのクプラTCRがワン・ツー・フィニッシュ。
「とても良いフィーリングだったし、私にとってもチームにとっても“スーパー・ハッピー”」と語ったコチュリンスキーが初の開幕制覇でSTCCキャリア2勝目を飾っている。
同じく雨がらみとなったレース2は、ポールスタートのブリンク・モータースポート、ハンス・モーリン(アウディRS3 LMS)がじりじりと後退する展開となり、僚友のウェルナーソンが勝利。ペナルティ裁定のダールグレンは6位、コチュリンスキーは後方からの追い上げならずもランキングでは3位につけて、次戦6月2日のアンダーストープ戦に臨むことになった。


