スペイン出身のアロンソとしても、F1キャリア以前を含めこうした前輪駆動ツーリングカーの経験はなく、やはり「感覚的に少しばかり違和感があったが、とても興味深い経験になった」と語り、シリーズ参戦に向けても「もちろん、大いに興味があるよ」と明かした。
「残念ながらアルゼンチンでレースをしたことはないけれど、この国がとてもフレンドリーな場所であることはよくわかった。今回はダカールラリー参戦に向けた準備の一環として訪れたけれど、ここに強固なモータースポーツ文化があり、グローバルなシーンへの興味関心も高いことが理解できた。なにより地元のシリーズがこれほど先進的であることに、まだ驚きが続いているよ」
そのアロンソ訪問の前日、ブエノスアイレス200kmのパドックでは2020年シーズンに向けた車両技術規定の改訂も発表され、その主眼は“スピードアップ”に置かれるという世界の潮流とは対照的な内容に。
来季に向けても、ワンメイクとなる鋼管パイプフレームシャシーに、各マニュファクチャラーがオリジナルのボディを架装し、開幕前に風洞試験を実施してエアロ形状がホモロゲーションされる仕組みは踏襲。
ただし細部の寸法がわずかに見直され、フロントスプリッターのサイズが拡張されるのを筆頭に、フロントとリヤサイドにはディフレクターが追加され、リヤウイングはより翼面の大きな新形状を採用。それに合わせてディフューザー容積も拡大され、さらにエキゾーストは車体後部からサイドポッド面に移設されるなど、全面的なダウンフォース量アップが狙われた。
また、運用規則面でもフロントのライドハイトが10mm下げられ最低地上高を60mmとし、2019年仕様のマシンと比較してオスカー・ファン・ガルベスではラップあたり約3秒のタイムアップが見込めるという。
その方向性に同調するように、ワンメイクでのタイヤ供給を担うピレリも2020年にはよりソフトなコンパウンドを投入する、としている。


