騒動の発端は、2018年から採用を準備し、この2020年から導入されたスタンダードECUの措置を巡るもので、マニエッティ・マレリが供給権を獲得した“C-ECU”は今季から原則、全車に導入されている。しかし一部はFIAのツーリングカー・コミッションに対し「新ECUを適合させる時間的な猶予がない」として採用免除を要求。結果的にルノー・メガーヌR.S.TCR、アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR、そしてアウディRS3 LMSがコンペンセイション・ウエイトを搭載する代わりに、C-ECUの採用免除が認められている。
現状、第3戦以降の復帰についてヒュンダイ側はコメントを拒否する姿勢を見せているが、アダモ代表とWTCRを運営するWSCのマルチェロ・ロッティが、何らかの打開策提案に向け話し合いを持つことが予想されている。
そんな週末で公式練習から速さを見せたのはFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR勢で、2度のプラクティスではアッティラ・タッシ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE Münnich Motorsport)が最速を記録。続くレース1に向けた予選では開幕ウイナーのネストール・ジロラミ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COM Münnich Motorsport)がポールポジションを獲得する。
週末初の雨に見舞われた決勝では、スタートから2周にわたってセーフティカー(SC)の先導が入りウエットの路面コンディションを確認すると、ローリングスタートで予選トップ10リバースの最前列を得たイバン・ミューラー(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Racing Lynk&Co)が一時先行するものの、オープニングラップのアーレムベルグで4番グリッド発進だったグエリエリが早々に首位を奪還。2位ミューラー、3位エルラシェールのLynk&Co Cyan Racingファミリーを従え今季初勝利を飾った。
続く土曜レース2でいよいよ最前列からのスタートを切ったジロラミだったが、前戦同様SC先導後のオープニングでエルラシェールに先行を許すと、2周目にはまったく同じドッティンガー・ホーエでスリップを活かしたテッド・ビョーク(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Performance Lynk&Co)にも先行を許す苦しい展開に。
その直前にはGPサーキット内でジル・マグナス(アウディRS3 LMS/Comtoyou Racing)とのバトル中に相手を押し出す危険な動きをしたとして、ジロラミに30秒加算のペナルティが科され万事休す。エルラシェールが今季2勝目でビョークとのワン・ツーを決め、ホンダのタッシが3位に続く表彰台となっている。続く2020年WTCRシーズン第3戦は、10月10~11日にスロバキアリンクを舞台に争われる。