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海外レース他 ニュース

投稿日: 2022.11.01 13:56
更新日: 2022.11.01 15:58

最終周で衝撃の結末。スロットルを開けたままの“ゲーム走り”でチャスティンが最終ステージ進出/NASCAR第35戦

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海外レース他 | 最終周で衝撃の結末。スロットルを開けたままの“ゲーム走り”でチャスティンが最終ステージ進出/NASCAR第35戦

 しかし第1ステージも残り9周となる121周目に、11番手発進だったハムリンがジワジワと忍び寄り、そのままステージ1とステージ2を連続で制覇。都合203周にわたって首位を維持する。

 最終ステージの276周目にはチャスティンと絡んだケセロウスキーがスピンを喫し、ここで初のアクシデントによるコーションが発生すると、続く321周目のチェイス・ブリスコ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)を起因としたコーションとも併せて、330周目のリスタート時点でベルが首位浮上に成功。その一方で、ハムリンは終盤の3回連続ピットストップでポジションを落とし、470周目のコーションで14.5秒の作業を経ると、因縁の相手であるチャスティンの背後13番手で最後の勝負を迎える。

 一方、隊列先頭ではポールウイナーのラーソンを0.869秒差で撃破したベルが「母さんと父さん、僕らはそれをやってみせた! 信じられない! この場所はいつも僕に厳しかったから尚更だ!」と今季3勝目、プレーオフ2勝目を挙げ、ジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)やエリオットらと並んで、最終チャンピオンシップ4のひとりに名を連ねる結果に。

 そしてこの日、明らかな最速マシンの1台を操ったハムリンは、ファイナルラップ突入で5番手に進出する一方、チャスティンはその宿敵と争うべく最後の賭けに出る。

「もちろん、それについて考えたことはないよ。今週の準備中だって、それは頭に浮かばかなったからね。たくさんiRacingで周回を重ね、バーチャル空間でシミュレーションはしてきたが、1度も頭に浮かんだことも、試したこともなかったんだ。最後にやったのはNASCARドライバーになることさえ考えなかったずっと前のことさ」と、レース後に仰天アイデア決行前の心境を明かしたチャスティン。

「でも(ファイナルラップを知らせる)ホワイトフラッグが振られ、頭の中であらゆる記憶がフラッシュバックし、ターン1と2を通して最低でもふたつ以上のスポットが必要だと思った。そして(無線を通じて)彼らは『YES』と言った。『もし壊れても大丈夫、もう今季はリペアの必要もない。うまくいくかどうか、イチかバチかでやってみる』と伝えたんだ」

 ターン3に向けアウトサイドのラインに寄せたチャスティンは、スロットルを開いたまま外側の壁に張り付くように進路を採ると、まるでアフターバーナーに点火したかのごとくフェンス際をロケットのように駆け抜け、11号車カムリを鼻先で捉えることに成功。その前方にいた4番手ケセロウスキーのテールにフィニッシュライン手前で追突する勢いでチェッカーを受けた。

『勝たなければならないレース』で2度目の奇跡を披露したクリストファー・ベル(Joe Gibbs Racing/トヨタ・カムリ)
ハムリンは、都合3回に及んだ終盤のピットストップ作業で、徐々にトラック上のポジションを失う結果に
ターン3に向けアウトサイドのラインに寄せたロス・チャスティン(Trackhouse Racing Team/シボレー・カマロ)は、スロットルを開いたまま外側の壁に張り付くように進路を採る

■ゲームキューブから発想を得た

「僕は決断を下し、5速ギアでターンに入った。基本的には全開、ターン4のアクセスゲートなどに引っかからないことを願ってハンドルを離したんだ」と明かしたチャスティン。

「うまくいくはずだとわかっていたけど、脳が理解できなかった(笑)。5速のギアを握ったまま、振動で視界がぼやけたよ。(チームオーナーの)ジャスティン(・マークス)とクルーが抱き合っていたのを大型ビジョンで見て、どうやら遅くならなかったようで『できた!』と思ったね」

「レースカーでこんなことをするのを初体験したのは、ゲームキューブで遊んだ『NASCAR 2005(Chase for the Cup)』が最初だと思うよ。僕は兄といつもそれで遊んでいて、フロリダか偽のコースかは覚えてないけど、いつも僕はそれをやられて負けていたんだ(笑)」と“ネタ元”を明かしたチャスティン。

 この結果、残り24周でステイアウトし首位にいたブリスコは、残り5周で4本交換を余儀なくされ最終的に10位に。25番手スタートからポジションを挽回できなかったウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)や、3位チェッカーもポイント上で届かなかったライアン・ブレイニー(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)らとともに、ここでプレーオフ敗退が決まった。

「そう、明らかに古いタイヤを履いていた」と明かしたブリスコ。「少しの間なら大丈夫だろうと思っていたが、急速に“崖2がきた。僕も壁を使うべきだったね(笑)。そこで使えばかなりお得だったはずさ」

 そして最後の瞬間までチャンピオンシップ4の権利を手中にしていたハムリンも「レースをコントロールできた日に限って、最終的にレースをコントロールできなくなる。コーションが出るたびに、いくつかのスポットを失い続けた。そういうものさ」と達観した面持ちで振り返ると、パドックの誰もが『パンドラの箱を開けたのでは』と懸念を表明する“壁走り”に関しても、現状はそれもすべてルールの一部だと語った。

「面白いけど、僕には合わないね」

 そして今週も併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズの第32戦は、3回に及んだ延長ファイナルラップ勝負を制し、タイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)が待望のプレーオフ初優勝で今季6勝目を記録。ノア・グラグソン、ジョシュ・バリー、そしてジャスティン・オルゲイアーらJRモータースポーツのシボレー・カマロ軍団と最終戦で雌雄を決する。

10月初旬のシャーロットに続き、プレーオフ敗退をギリギリの勝利で喰い止めたベル「そういう瞬間に、僕のクルーは最速のクルマを与えてくれるんだ!」
最後の瞬間に”Championship 4″進出権を奪われたハムリン「面白いけど、僕には合わないね」
NASCAR Xfinity Seriesは、タイ・ギブス(Joe Gibbs Racing/トヨタGRスープラ)が待望のプレーオフ初優勝で今季6勝目を記録


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