さらに今季のレギュラーシーズン王者であるマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)がアクシデントで17位に沈むなか、終盤に向けウォレスとともに首位戦線に浮上した2021年王者カイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)も、この日は99周にわたって先頭を走りトヨタの対抗馬であることを誇示したものの「ただサイド・バイ・サイドで並んだだけなのに、一瞬で失った。かなりガッカリだ」と残り17周でルーズになり壁の餌食に。
これで自身キャリア最多となる111周をリードしたウォレスが、レースでの栄冠も手にする……かと思われた。しかし最終盤のフロントストレッチでライアン・ブレイニーやオースティン・シンドリックら、チーム・ペンスキー陣営のマスタングらが絡む多重アクシデントが発生し、この日11回目のコーションとなる。
残り6周で迎えたリスタート。集団3番手に位置していたバイロンは、ここで抜群の反応を示して首位浮上を決めると、最終的には後続を引き離すことに成功。ロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)に1.863秒差をつけ、たった6周のリードでプレーオフ勝利を手にした。
「最後にようやく良いリスタートを切り、ヘンドリックの300勝目を獲得できたが、カイル(・ラーソン)は本当にこの勝利に値すると言わざるを得ない。彼らは1日中本当に速かったし、それが最後にこんな目に遭うのはうれしくないよ」と、まずは終盤にレースを支配した僚友に言及したバイロン。
「でも、この24号車で先頭を走るのは素晴らしかった。コイツはクリーンエアでのバランスが抜群に良くて、そこまではずっとトラフィックで格闘していたからね。蒸し暑くて大変な1日だったけど、この結果を誇りに思うよ」
さらにチームの歴史的な300勝目について、勝者は笑顔でこう続けた。
「言葉で言い表せるか分からないが、僕は子供の頃からジミー・ジョンソンを見て育ったし、ヘンドリックのファンだった。そして彼本人と知り合ううちにジェフ・ゴードンが本当に好きになったんだ。チーム全員、そしてリック・ヘンドリックが僕のためにしてくれたことすべてに感謝している」
最終的にベルとハムリンを従え、トヨタ陣営最上位の3位でフィニッシュしたウォレスは「まさに窒息したようなもの」と、最終結果に明らかな失望を示した。
「最悪のリスタートだった。チームにとっても(パートナーの)マクドナルドにとっても憎むべき展開だ。僕らはヴィクトリーレーンに値するとは思うが、何も保証されているわけじゃない。そのために戦っている」と続けたウォレス。
「今日はトラフィックに少し苦戦したが、ゲームに集中し、1日中素晴らしい戦略を立てコースポジションを確保できた。とても良いポイントだと思うしかないね」と、トップ5全員がプレーオフドライバーでありながら、そのウォレスは決勝終了時点で敗退ラインを下回る結果となった。
併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第28戦『アンディーズ・フローズン・カスタード300』は、ジョン-ハンター・ネメチェク(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)が、こちらも残り7周での逆転劇を演じ、シリーズ&自己ベストの年間7勝目を手にしている。