ヨーロッパにおけるF1報道の第一人者、レオ・トゥッリーニ氏著作の初邦訳書『アイルトン・セナ 確信犯』が9月15日(予定)に発売となる。氏は公私ともにフェラーリ派でありながら、その立場や信念を超えたところでセナの人間性に惹かれ、親交を深めたイタリア人ジャーナリスト。セナの没後20年となる2014年にイタリアで発表されるや、たちまち大きな評判となった本書は、両者の間に育まれた「友情」を縦軸とし、時系列によらないユニークな切り口で描き出した秀作である。

 この作品は、英雄セナを偶像化して讃えるものでも、“暗黒の週末”をなぞるメモワールでもない。根底に流れるのは彼らの友情であり、それは筆者が「フェラーリ側」に立つからこその冷静な視点によって支えられている。そして、ポイントとなるいくつかの重要な場面で、ふたりの軌道は期せずして交じり合う。なかでも意味深いシーンのキーワードが「最後の旅」と「激白」だ。

 ひとつ目のキーワード「最後の旅」とは、セナの遺体がブラジルに移送されるフライトのこと。機長の計らいにより、機内に特別にしつらえた祭壇に安置された亡骸。トゥッリーニ氏は偶然にも同機に乗り合わせ、さらに不思議なめぐりあわせにより、割り当てられた座席は、柩の前だった。何かに導かれるようにセナの最後の旅の同伴者となった筆者が、厳粛な空気に包まれた機内の様子を描いたのが、第1章「帰郷」。冒頭から一気に引き込まれる。

 そして日本語版のモチーフともなっている「激白」。1990年鈴鹿1コーナーでのアラン・プロストとの事故が故意であったことは、のちに本人が認めており誰もが知るところだが、その撃墜計画(すなわち犯行予告)を、なんと筆者は1カ月も前にセナから聞かされていた。あれは一瞬の激情に駆られた行動ではなく、強い意志とセナ流の“正義”に基づいた復讐劇だったのだ。何より実行の意図を事前に明かしていたことは、おそらく初出のセンセーショナルな事実である。

 ほかにもセナを語る上で欠くことのできない場所、人物、事象ごとに紡いだストーリーは、どれも興味深い。ヨーロッパで高い知名度を誇るトゥッリーニ氏だが、フェラーリ取材のオーソリティとしての印象が強く、英語での著述がないこともあって、日本のF1ファンには馴染みが薄い。そんな氏が「機は熟した」として上梓した一冊だけに、初めて目にするエピソードも多く見られる。

 さらに幅広い人脈を持つトゥッリーニ氏の作品とあって、サッカー元イタリア代表ゴールキーパーで五輪や代表監督も務めたディーノ・ゾフがまえがきを、フェリペ・マッサがあとがきを寄稿して趣を添えている。

『アイルトン・セナ 確信犯』は三栄書房オンラインamazonで予約を受付中。

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